ふれあい健康センター「湯っ蔵んど」の今後のあり方について

更新日:2025年03月21日

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はじめに

ふれあい健康センター「湯っ蔵んど」は、1997年に市民の健康と福祉の増進並びに観光振興を図るため、県内最大級の温泉施設として誕生し、健康、福祉、交流、観光、防災(指定避難所)など多面的な機能を有する重要な拠点となっていますが、開業から27年が経過し、施設の老朽化への対応、維持管理費用の増大や低未利用の公共空間活用などに課題があります。

そこで、現在の指定管理期間終了後の2027年4月以降における湯っ蔵んどのあり方について、民間事業者、市民、施設利用者の皆様からご意見、ご提案をいただきながら、市のまちづくりの方針と財政状況等を踏まえ検討することとしました。

運営の現状

運営のしくみ

当該施設は2006年度から指定管理者制度を導入しておりますが、指定管理にあたっては市から指定管理者に対し指定管理者委託料を支払っていません。
温泉事業にかかる経費は入館料収入を充てており、温泉事業にかかる経費の不足分を指定管理者が行う飲食事業等(自主事業)の売上げでカバーするしくみとなっています。

現状等まとめ

現状等まとめ
機能、設備面 運営面
集客力の高い施設であり、ファミリー層を中心に利用され、様々な交流の場となっている。 2009年から2018年までは温泉事業と自主事業をあわせた収支で黒字となっていた。
地元農産物を中心とした地域物産の紹介・販売を行っている。 2020年からのコロナ禍における温泉事業の赤字に対し、2021年度から2023年度にかけて市が指定管理者に対し財政的支援を行った(3年間で約6,000万円)。
リフト付きの福祉浴場を有している。 大きな施設のため維持コストが高い上に昨今の光熱水費や物価の高騰が温泉事業だけでなく自主事業にも影響し、運営が難しくなっている。
指定避難所になっている。2019年の東日本台風災害時も被災者の入浴や飲食提供の場にもなった。 入館者数はコロナ禍に20万人を切り、2022年度から回復傾向にはあるものの、コロナ禍前の水準には戻っていない。
施設の経年劣化に伴う応急的な修繕が多くなっている(年間約2,000万円)。今後長期にわたって施設を維持するためには、大規模改修が必要となる。
建物・設備の維持のみを目的で行う大規模改修で、概算費用が約10億円。 

2019年度から2023年度までの入館者数

2019年度 278,971人

2020年度 166,966人

2021年度 199,155人

2022年度 222,848人

2023年度 232,628人

これまでの経営状況

湯っ蔵んどの経営状況の図。

グラフの説明

「基金残高」…修繕のために積み立てた基金の額

「補助金・支援金」…市が指定管理者に対し交付した額

「支払免除」…指定管理者からの市への支払を市が免除した額

「施設賃借料・支援金等」…市へ納入された施設賃貸借料及び施設維持協力金の額(図ではマイナス表示となってるので注意)

「経営収支」…運営における経営収支の額

「市修繕等費用」…市が実施した施設点検、修繕、備品購入の額

各種調査の結果

サウンディング型市場調査

1 サウンディング参加者
業種 参加者数
設計コンサルタント 2者
道の駅運営事業 1者
出版業、文化・教育催事・学術会議の企画・運営 1者
健康・宿泊事業 1者
トレーラーハウス製造・販売 1者
GXコンサルティング事業 1者
温浴事業 1者
合計 8者

 

2 サウンディング結果の概要(提案者別)
提案者(業種) 提案内容
設計コンサルタントA
  • コンパクトで完成後も柔軟に対応できる施設を整備
    → 減築や小規模施設(平屋建て)への建て替え
  • 補助金の積極的活用
    → 道の駅としての整備
  • 3つの機能を持つ複合施設として相乗効果を生む
    → 温浴機能、道の駅機能、宿泊機能を3つに切り離し考えていく
  • 整備は市で行うほうがよい。
設計コンサルタントB
  • 道の駅を目指した整備
    ア 1階の農産物直売所をイベントスペース・飲食コーナーへ用途変更
    イ 農産物直売所は、新たに建築
    ウ 1階の宴会場を半分にし、テレワーク、シェアオフィス、コワーキングスペースに整備
    エ ふるさと納税PRセンターの設置
    オ 長野県内大学等との連携
    カ 多目的広場にスポーツ施設を設置
    キ 旧マレットゴルフ場はキャンプ場へ
  • 事業手法はPFI事業も考えられるが、改修だけならメリットは少ないかもしれない。
道の駅運営事業
  • 道の駅の提案
    ア 第1期と第2期にわけて整備
    イ 第1期で既存施設の解体→ 平屋で温浴施設の建て替え
    ウ 第2期で交流促進施設本体(道の駅)の建設
  • 整備手法としてPFI事業は厳しいのではないか。市で整備が望ましい。
  • 温泉施設内の機能は必要最小限の規模とする。飲食などは交流促進施設内の機能とするのが今後の維持管理等のコストを踏まえたうえで望ましい。
  • 温浴施設は温浴施設として、道の駅は道の駅として整備
出版業、文化・教育催事・学術会議の企画・運営
  • 親子でくつろぎ過ごせる空間づくり(1階市民スペースの活用)
  • まなび活動の実施、地域連携活動(大学連携)の推進
  • 市で整備(設計・施工一体発注、指定管理で)
健康・宿泊事業
  • 防災道の駅(温泉と宿泊施設を併設)としての整備、活用
  • 補助金を活用して市で整備
  • ヘルスツーリズム、二地域居住の推進
トレーラーハウス
製造・販売
  • 防災道の駅としての整備、活用
  • キャンプ場運営、アウトドア・DX研修開催などへの活用
GXコンサルティング
事業
  • 木質バイオマスボイラを導入し、燃料費の大幅削減を図る。
  • ヒートポンプを廃止し、冷房設備を簡素化することで維持管理費と電気料金を大幅に削減する。
温浴事業
  • 現在、大きな宴会場などあまり稼働していない施設があり、現状の建物を維持管理するにはリスクが大きいと考えると、今のニーズに合わせた施設への建て替えを検討したほうがよい(平屋での建て替えがよい)。
  • いろいろな浴槽、時代にのったサウナ設備、アカスリの導入、食事処の改善によって夜、週末に若者層が増えると見込める。
  • 道の駅として整備するなかで、宿泊施設(トレーラーハウスなど)も設置し、相乗効果を図る。
  • 大きな露天風呂はコストがかかる場合があるが、地下水、温泉を活用すればコストが抑えられると考える。
    井戸の掘削(井戸は災害時も有効に使える)や湯量増加にむけ源泉地にポンプの設置を検討してはどうか。
  • 「改修」を含む運営であるならば、自社とすれば手を出せない。
  • 土地等の譲渡であれば運営できる可能性はある。

今後のあり方アンケート

1 回答数 368件(ながの電子申請267件、書面回答101件)

2 存廃の希望

  • 存続希望 320件
  • 廃止希望 40件
  • 回答なし 8件

3 存続希望の理由(主なもの)

  • 県内有数の規模を誇る温浴施設であり、須坂市内外から多くの利用者が訪れている。天候に関係なく、年間を通して幅広い世代が利用できる貴重な施設であると思います。
  • 仁礼地区には商業施設や飲食店が少ない。湯っ蔵んどは温泉施設であるが、飲食店として利用することも多いので、ぜひ今後も存続してもらいたい。
  • 障がいのある方が温泉を楽しめる唯一の場所。福祉風呂だけでも残して欲しい。
  • 須坂市に2か所しかない温泉施設です。私は法事の時に使わせてもらったり、忘年会にもお願いした事が有ります。出来る限り存続して欲しいと思います。
  • 入浴以外にも大勢で集まる(法事・宴会等)ことができる施設であり、少しずつ改修しながらでも存続した方が良いと思う。大きなイベントの開催や災害時の避難所としても利用価値はあり、集客の工夫をし、残した方が良いと思う。

4 廃止希望の理由(主なもの)

  • 大規模改修に多額の費用をかけて、その後も維持管理運営に費用をかけ続けてまで交流の場を残す必要があると思えない。
  • 民間に売却したほうが集客につながる。
  • 利用者が見込めないのであれば廃止すべきと思う。
  • 温泉施設であれば、もっと小規模なものに建て替えもアリかと思います。
  • すべての市民が利用しているわけではなく、黒字で利益がでていて、その資金で改修は構わないと思いますが、税金から捻出は間違いと思います。負の遺産を後世に残してはなりません。

5 主な意見・提案(自由記述)

  • このままでいてほしい。存続できなくなるくらいなら値上げしてほしいです。
  • 民間企業に完全に任せてしまった方がよい。話題のチョコザップなどを入れたり人気のサウナに力を入れたり、しっかりお金をかけて人を集まるためには、市の力では限界を感じる。
  • 外でもっと子供達が遊べるようにして欲しい。公園と呼べるような形になると、公園に遊びにきてそのまま入浴という流れができると思う。小さくても噴水があればベスト。
  • コトリの湯のようなスペースがあっても良いのではないかと思う。須坂市民から集めた中古本や絵本を自由に読めるだけで嬉しいし、避難所となったときには子供たちの暇つぶしになる。
  • 室内で子どもたちが遊べるアスレチックなどの施設を作る。
  • 湯っ蔵んどを道の駅に改修してイオンモールに訪れる観光客を誘導し、市内観光案内や人気の果物をはじめとする地元農産物の販売を行う。
  • 宿泊施設が充実させるといいと思います。
  • 規模を縮小する。
  • 空きスペースの有効活用(コアーキングスペース・会議室・個室利用など)。
  • スポーツ施設を導入する(プール導入→小中学校プール授業実施)。
  • 避難施設としては大事だと思う。ハザードマップで問題なく、駐車場も広く、
    多目的の広場もあって収容力が高いはず。
  • 施設や土地の利用方法を制限して(広く市民の人が使える施設である条件にして)民間企業に再開発してもらうのが良いと考えます。市としては土地の借地料を一定期間免除するなどで支援してはどうか。
  • 温泉事業の赤字分を指定管理者の売上で賄う運営方法では、指定管理者が撤退した場合運営が成り立たなくなり現状でもすでに不安定な状況だと思う。今後、少子化が進む中で利用者も減少していくと思われるので改修費に多額の税金を投入するのは賢明ではないのではないか。一般企業に施設丸ごと売却できれば良いだろうが、おそらく収益の見込みのない物件を引き受ける企業は無いと思われる。税金を投入し続けないと運営できない事業は終了を検討すべきと思う。
  • そろそろ30年経つ時期で廃止して道の駅設置した方がよいです。
  • 須坂温泉にも公金が投入されていることを考えると、2つも温泉が必要かと考える。湯っ蔵んどを宿泊施設化して、須坂温泉を廃止する案もあるのではないか。災害時の対応の為、一つは残すことに賛成です。
  • 少子高齢化が進み、今後須坂市の人口が減少することが分かっている。今の子供達の負担となる持続可能性のない施設は縮小するべきである。湯っ蔵んど跡地の利用については、市で所有するのではなく宅地にするか工業用地にするなど民間に所有させて利用することが好ましいと思う。
  • そもそも近隣の長野市、小布施町、高山村に温泉施設があり、須坂にはもう一つ須坂温泉があります。それぞれの施設では集客に向けていろいろな施策を展開しており、そのような状況の中で来場者を増やし収益を確保していける「営業方針・具体的な改善策」がなければ、2018年以前の状況には簡単には戻らないはずです。追加での財政支援よりも営業停止・建物取り壊しを視野に検討するほうが、ズルズルと施設を存続させるよりトータルでの損失が少なくなると考えます。

各種方針、財政状況

第六次総合計画(前期基本計画)(2021年3月策定)

施策33「地域資源を活かした観光の振興」の施策の取り組み方針の1つとして、「観光案内看板の設置、観光施設間の連携等、観光資源の線的・面的な整備を行い、まるごと博物館構想を核とした観光振興を図る」としている。

都市計画マスタープラン(2019年8月全面改訂)

まちづくりの方針として、「当該施設は観光・レクリエーション拠点として観光振興や市民の憩いの場としての整備・活用を図る」としている。

公共施設等個別施設計画(2024年度版)

<維持管理計画方針>

【共通】

  • 利用拡大に向けて他施設、民間等と連携した利活用を検討。

【施設別:ふれあい健康センター(湯っ蔵んど)】

  • 民間への譲渡も視野に検討を行う。

財政状況(2025年度当初予算案記者発表資料より)

人口減少、高齢社会といった社会的背景のほか、物価高や労賃など経常経費の増加、市庁舎建設などの大型事業が控え、今後公債費がピークを迎えていくなど、非常に厳しい局面に入っていく。

今後のあり方の検討(検討経過)

各種調査結果、各種方針、市の財政状況をもとに次の視点で検討しました。

1 温泉事業(温泉施設)の必要性

  • 健康福祉面からの市民ニーズ、災害時の入浴対応(特にこの施設はハザードマップ上、土砂災害や浸水のリスクが極めて少ない場所に立地している)や温泉活用の面から温泉事業(温泉施設)は必要であると考えるが、温泉事業を継続するには多くの要望があった改修や今後の維持管理などに多額の費用がかかることが想定される。
  • 施設開設当初から比べ、近隣に民営を含め多くの温泉施設が点在し競合している中、市がどこまで温泉事業を継続するのか見極める必要がある。

2 施設整備、施設活用、維持管理

  • 市の財政状況を踏まえると、今後見込まれる大規模改修(建替え含む)や維持管理(特に修繕料)に多額の費用がかかることから、市単独で施設整備等をするのではなく、民間資金等の活用が必須となる。
  • このタイミングで市単独で大規模改修を行い10~15年維持したとしても、再度施設整備の課題が生じる(その時は、設備だけでなく建物自体の耐用年数を迎えることになる)。市がこれだけの大きな施設を引き続き長期にわたって所有していくことは困難であることから、公共施設等個別施設計画にあるように、民間事業者へ土地・建物を譲渡することが現実的な選択である。
  • 建物自体は耐用年数を迎えるまで20年あり、また、土地が広く施設も大きいことから、民間の自由な発想と投資により施設整備等を適切に行い、施設の更なる活用を図ることで、総合計画や都市計画マスタープランにあるように、引き続き健康福祉、観光振興などを含めた地域交流拠点となることが期待できる。
  • 2024年9月~10月に実施したサウンディング型市場調査では「道の駅」としての整備・活用の提案が多かったが、「道の駅」は原則公設が条件であること、温泉事業(温泉施設)を継続しつつ「道の駅」として必要な要件を満たすための施設整備には多額の費用がかかること、また、今後の大規模改修、維持管理のことを鑑みると、現時点で「道の駅」として整備・活用することは困難である。

3 運営

  • 民間事業者のノウハウや手法等を取り入れた運営とする。民間事業者が運営を担うことで、利用者ニーズや社会情勢等の変化に対応し、民間事業者の裁量で柔軟かつ速やかにサービスや経営に反映させることが可能である。
  • PFI法に基づくコンセッション方式(注)についても検討したが、前述のとおり、市がこれだけの大きな施設を引き続き長期にわたって所有していくことは困難であることから、他の運営等手法を検討する必要がある。
    (注)利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、 施設の運営権を民間事業者に設定する(運営権の対価収入あり)方式

今後のあり方(方針)

完全民営化を目指します(2027年4月以降)

(現在の指定管理者制度は2027年3月末で終了とする)


次の条件を付して、土地、建物を民間事業者へ無償譲渡します(譲渡先事業者は公募により選定)。

【譲渡条件】

  • 健康、福祉、観光振興、レクリエーション用途としての土地・建物の活用(地域交流拠点の形成)
  • 温泉事業の実施(2027年4月以降、現在の温泉事業を最低5年間継続)
  • 災害時における避難場所等としての活用(災害時応援協定の締結)

(注)事前に民間事業者を対象にサウンディング型市場調査を行い、参入意欲の確認及び譲渡条件について意見をいただく中で、今後この条件が変更となる場合があります。

今後の進め方(予定)

今後の進め方(予定)
スケジュール 流れ
2025年3月 あり方(方針)公表
2025年4月~5月

市民説明会

  • 4月24日(木曜日)仁礼コミュニティセンター(午後6時30分から7時30分まで)
  • 5月8日(木曜日)メセナホール小ホール(午後6時30分から7時30分まで)
2025年6月~7月

サウンディング型市場調査(民間事業者を対象)

  • 参入意欲があるか確認する
  • 上記譲渡条件に対して客観的な意見をいただく
2025年度中

譲渡条件等の調整

必要に応じて追加のサウンディング型市場調査の実施

必要に応じ予算措置

2026年4月以降(2026年度中)

事業者公募(プロポーザル)、事業者選定

財産処分等議会議決

2027年4月以降

所有権移転

新たな事業者による事業開始(完全民営化)

この記事に関するお問い合わせ先

産業振興部 商業観光課
所在地:〒382-0911 長野県須坂市大字須坂1295番地1(須坂駅前シルキービル2階)
電話番号:026-248-9005 ファックス:026-248-9041
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