【最新号の特集】広報須坂7月号
介護の仕事の魅力

いつかは自分や家族に必要になるかもしれない「介護」。少子高齢化がますます進む中、介護は社会に欠かすことのできない生活基盤として重要視され、ニーズにあわせた多種多様な介護サービスが提供されています。
そして、こうした社会的な需要の高まりとともに、介護を担う「介護職」の重要性も認知され、処遇改善や負担軽減の対策も進められています。
今月号では介護サービスの現状と、実際に介護職として働く皆さんの声をご紹介します。
介護サービスいろいろ
介護が必要な高齢者を対象とした介護サービスには多くの種類があります。介護認定を受け、「要支援」、「要介護」と認定された方が利用できる介護保険サービスは現在26種類あり、利用する場所によって大きく3つに分けられます。
注釈:介護保険サービスとは、介護保険が適用され、利用料を一部負担で使えるサービスです。
介護サービスの種類
1.自宅で受けるサービス【訪問系】
例
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 訪問入浴介護
2.施設などに出かけて日帰りで受けるサービス【通所系】
例
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
3.施設などで生活(宿泊)しながら、長期間または短期間受けるサービス
例
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設(老健)
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
この他、訪問と通所、宿泊を複合させたサービス(例/小規模多機能型居宅介護)、介護予防サービス、介護の相談・ケアプラン作成、福祉用具の利用にかかるサービスがあります。
現場で働く介護職員に聞いてみました
訪問入浴・訪問介護

須坂市社会福祉協議会
訪問介護事業部職員
関さや香さん(25歳)

母の姿を見て介護職を選びました
高校生の時、母が仕事を持ちながら祖母を懸命に介護する姿を見ていました。母も体調が悪くなるんじゃないかと心配になるくらい懸命に介護していて、家族以外が支えてくれる介護の仕事がとても必要だと実感しました。
介護専門学校に2年間通い、介護福祉士の国家試験に合格。障がい者施設を経て、須坂市社会福祉協議会に就職し、5年目に入っています。
実は、母もこの介護経験をきっかけに10年ほど前から介護職に転職、母娘で同じ道を歩み、いろいろ相談しあっています。父も協力してくれます。
仕事の内容
訪問介護は1日8〜9軒、1人で利用者のお宅に伺い、おむつ交換・調理・食事介助・洗濯・掃除などを行います。訪問入浴は看護師、オペレーターと3人1組で1日上限5軒、利用者のお宅を訪問しています。365日必要な仕事ですのでシフト制で交替で訪問しています。
「ありがとう」がうれしい
やはり、利用者の皆さんの笑顔が増え、「ありがとう」と言っていただけるとうれしいです。利用者の皆さんの表情や様子をよく見て声掛けすることを心掛けています。毎日違う方のお宅に行くので職員で話し合って、一人一人に合った日常生活が送れるように気をつけています。
また、職場の皆さんも親切に指導していただき、本当にありがたく思っています。
介護職を目指す方へ
どの仕事もそうですが、介護職にしかないやりがいや楽しさがあります。仕事の内容を知っていただき、この道に進んでいただけるとうれしいです。
オフの時間は何をしていますか?
高校生の時やっていたソフトテニスを友だちと楽しんでいます。それと断捨離。これをすると、心身がすっきりして元気になります。
職場の方からメッセージ
とても明るい性格です。仕事にも前向きに取り組み、職員にもいい影響を与えてくれています。若い力で私たちを引っ張っていってほしいと願っています。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

グループホームサンオアシス
根津裕美恵さん(36歳)

現在の職場で実習を受けて就職しました
3年前に転機があり、家族の勧めもあって、市内福祉施設が開講している介護福祉士実務者研修(通信)を受講し、ハローワークで教えていただいた介護職員初任者研修も半年間受けました。その時の講師が現在の職場の方で実習も受け入れていただき、そのまま就職させていただきました。とてもご縁を感じています。
仕事の内容
シフト制で利用者さんの介助をしています。早番を例にとると、朝7時に出勤、朝食作り、食事介助、入浴介助、外気浴、風船バレー・輪投げといったレクリエーションなどを行い、午後4時に終業となります。週休2日はきちんと確保できています。
毎日が充実、人の役に立っていると感じます
もともと人と話をしたり、接することが好きで、自分に合っていると思います。毎日が新鮮、充実しています。介護職の方はどなたもそうですが、声を掛けた時に「ありがとう」と言われると、人の役に立っていることを実感し、うれしく思います。
笑顔でゆっくり話すことを心掛けています
利用者さんには笑顔でやさしくゆっくりと話すことを心掛けています。それと、自分自身の体の使い方やメンテナンスには気をつけています。
介護職を目指す方へ
全く違う職種からの転職で、最初は戸惑うこともありましたが、私が経験しました。大丈夫です、心配しないで飛び込んできてください。わからないことがあれば、職場の皆さんが丁寧に教えてくれるし、その経験を後輩の皆さんにも伝えていきたいと思います。
オフの時間は何をしていますか?
映画が好きで、最近は須坂にもゆかりのある「シンペイ」や長野県が舞台の「名探偵コナン」を観に行きました。シンペイはとても丁寧に作り込んでいて感動しました。
やはり、オフの時間を大切にすることで、仕事への活力が生まれてくると思います。
職場の方からメッセージ
3年前に介護の仕事は全く初めてで来ていただきましたが、仕事ぶりを見ていてとてもやる気を感じます。すごく頑張っているし、これからも期待しています。
小規模多機能型居宅介護

悠々オアシス
布施直人さん(33歳)

高校3年生でヘルパー2級の資格を取得しました
母が介護の仕事をやっていて、私が19歳の時、母方の祖父が要介護の状態になるなど、身近に介護が存在していました。 高校3年生の時、ヘルパー2級の資格を取得していたこともあったので、介護の道を選択しました。前の職場を合わせると介護職は13年目になります。
仕事の内容
大きく分けて、訪問介護、デイサービス、ショートステイの3つを担当しています。訪問介護は1日4〜5人の安否確認やバイタルチェックなど、デイサービスは利用者さんの送迎、施設での入浴・食事・レクリエーションの世話や指導など、ショートステイは宿泊する利用者さんを翌朝9時まで見守ります。
人生は勉強の連続です
利用者の皆さんはいろいろなことを知っていて、高校卒業したての自分に言葉遣いやあいさつの仕方など基本的なことを教えてくださったのも利用者の皆さんでした。 周りの職員にも支えられています。 人生は勉強の連続です。
笑顔を忘れなければ、距離感も縮まります
利用者さんの目を見て話し、不安を取り除いてあげること、笑顔を忘れないこと、マスクをしているので目で笑うことも大事ですね。そうすれば自然と会話も弾むし、互いの距離感も縮まります。妻も他の施設で機能訓練指導員の仕事をしているので、良き理解者、良き相談相手になっています。
介護職を目指す方へ
きつい仕事と思われがちですが、週休2日はキープできています。どんな仕事でも最初はゼロからの出発です。情熱を持って取り組めば、やりがいは必ず生まれてきます。
オフの時間は何をしていますか?
バイクが好きでツーリングをしています。この前は佐久方面に行ってきました。体いっぱいに受ける風が気持ちいいです。カードゲームなんかも好きです。
実は6月8日に第1子が生まれました。健やかな成長を願いつつ、たくさんの元気とパワーをもらっています。
職場の方からメッセージ
まだ若いですが、経験豊富でいろいろな視点から仕事に向き合えるので頼りにしています。新しい家族が増えたので、ますます頑張ってほしいと思います。
須坂市の現状と課題

高齢者福祉課長
関野志穂
団塊の世代が全て75歳以上となる2025年を迎え、今後高齢化がさらに進み、介護ニーズの高い85歳以上の人口が増え、医療や介護の需要が増加していくことが予測されます。
高齢者が安心して暮らしていくために介護人材の確保が課題
高齢者が住み慣れた地域で支え合い、健やかに暮らし続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの深化・推進が求められています。高齢者が安心して暮らすために適切なサービスの提供体制の確保・充実に取り組む中、介護人材の確保が課題です。介護の仕事は大変と思われる方もいますが、今回紹介した方々のようにやりがいを感じて、イキイキと働いている方もいらっしゃるので、多くの皆さまに介護の仕事に関心を寄せていただきたいと思います。
介護予防教室を開催しています
市では、健康づくりや介護予防、社会参加の機会として、65歳以上の方どなたでもご利用いただける介護予防教室を開催しています。市報などでご案内していますので、ぜひご利用ください。
介護の現場で働きませんか
介護の仕事は未経験・無資格でも始められますが、できる業務が限られ、求人も少ないため、資格取得をおすすめします。
資格取得には、福祉系の学校で学ぶほか、県が指定した事業者が実施する研修を受ける方法もあります。資格取得や就職支援など、詳しくは県ホームページをご覧ください。
職種 | 主な介護関連資格 | 内容 |
---|---|---|
介護 | 介護福祉士・実務者研修修了・介護職員初任者研修修了ほか | 入浴、排せつなどの身体介護、調理などの生活援助など生活全般をサポート |
相談・調整 | 社会福祉士・社会福祉主事任用資格・介護支援専門員(ケアマネージャー)ほか | 家族や本人から心配ごとや希望を聞き、課題解決に向けて計画を作り実行する |
介護助手等 | なし | 介護を伴わない生活援助や送迎など、介護職員を支える |
「介護のプロ」を目指せます
福祉系の学校で学んでいなくても、仕事や研修を通じて専門性を高めることでキャリアアップが可能です。国家資格である介護福祉士は、3年以上の実務経験を積み、介護福祉士実務者研修を修了すると試験を受験できます。介護福祉士は豊富な知識と技術を持ち、要介護者と介護者の両方をサポートする「介護のプロ」です。
介護の仕事に関する情報は県福祉人材センターホームページをご覧ください。

お問い合わせ先
高齢者福祉課
電話番号:026-248-9020
更新日:2025年06月30日