【最新号の特集】広報須坂8月号
小児科医院が増えました ~お子さんの健やかな育ちのために~

子どもの急な発熱や体調が悪いとき、診療を受ける小児科。子育て世代にとっては欠かせない存在ですが、小児科医の不足や偏在は全国的な課題となっており、長野県内の小児科を掲げる医療施設は年々減少しています。
須坂市内では、5月に新たに「やすらぎクリニック須坂」が小児科を開設し、市内で診療を行っている小児科が3施設となり、小児科医療体制が充実しました。
今月の特集では、市内の小児科の先生方を紹介するとともに、子どもの急病時に役立つ情報をお知らせします。
小児科受診に関するアンケート結果
2024年5月に、子育て中の方を対象に実施した小児科受診に関するアンケート調査(回答数112)では、「お子さんの体調が悪い時に、すぐ受診できずに困ったことはありますか」の問いに対し、約7割の方が「ある」と回答。その理由として最も多かったのは「予約が取れず、他の医療機関を探さなければならなかった」との回答でした。
また、「お子さんが必要な時に適切な医療が受けられる地域づくりのために、何が必要だと思いますか(3つまで選択)」の問いに対しては、「小児科医院が増える」「小児を診てくれている内科などの医療機関が小児科を掲げる」「総合病院の小児科の受診枠が増える」が上位となり、小児科医療施設の増加を求める声が多く聞かれる結果となっていました。
(問い) お子さんが必要な時に適切な医療が受けられる地域づくりのために、何が必要だと思いますか(3つまで選択)

総合福祉施設 須坂やすらぎの園 やすらぎクリニック須坂
3代目院長に石井先生が就任し2025年5月から小児科診療を開始!

院長:石井栄三郎先生
住所 大字日滝2881-1(本郷町)
電話番号 026-213-6550
診療科目 小児科、内科、リハビリテーション科
診療時間 月~金曜日 午前9時~11時45分、午後2時~5時(ただし、第1金曜日は午後3時~5時)
休診日 土・日曜日、祝日
Q どんな施設ですか
当院は、総合福祉施設「須坂やすらぎの園」の同一敷地内にある診療所です。もともとは、施設におられる方々の健康維持と安心安全のための医療の提供が主で、初代院長は整形外科、2代目院長は内科の先生でした。今回、小児科医の私に院長のお話をいただき、小児科を掲げる診療所になりました。
前に勤めた新生病院(小布施町)では小児科の他に、回復期リハビリテーション病棟を担当し、高齢者の医療も勉強しました。少子高齢化で生産年齢人口を構成する働き手世代が大幅に減り負担が増える中、0歳から100歳を超える患者さん方をしっかりサポートすることで、育児や介護の不安や負担を減らし、働き手世代が十分に働けるよう支援できればいいなと思います。
Q 小児科診療の開始から2カ月経ちました。地域の反応はどうですか?
今のところ、小児科の患者さんは全体の2割程度です。少しずつ増えてきていますが、それでもまだ診られるキャパシティはあります。施設の診療所ということで、何となく入りにくいと思うかもしれませんが、どなたでも診られますので、困ったときはどんどん来ていただきたいと思います。
Q 石井先生のうれしい瞬間はどんなときですか?
笑顔を見せてくれるときが一番うれしいです。赤ちゃんや子どもは、自分に対して安心な存在だと思うと必ずニコッとしてくれます。診察室に入ってきたときに泣いていても、話をしたりいろいろしていくうちに、だんだん安心してきて心を開いてくれて、ニコッとして帰ってくれる、そんなときはうれしいですね。
Q 地域の皆さんにとってどんな存在でありたいですか?
相談相手になることができればと思います。診療所は病院と違い、専門的なところまでは診られませんし、ましてや自分の持っている知識の範囲外のことで知ったかぶりもできません。ただ、お話を聞いて、最適と思われる医療機関を紹介するといった「交通整理」はできます。地域の方が最初に相談できる身近な相談相手でありたいと思いますので、困っていることや不安なことがあれば、遠慮せずにお越しください。


市内の小児科をご紹介します
たむらこどもクリニック
住所 塩川12-2
電話番号 026-248-6621
診療科目 小児科、アレルギー科
診療時間
- 月・火曜日、木・金曜日 午前8時30分~正午、午後3時~6時
- 土曜日 午前8時30分~正午、午後2時~5時
休診日 水・日曜日、祝日

院長:田村秋穂先生
市内で開業して17年になります。当時診ていたお子さんたちが、今ではもう立派に成人したり無事に大きくなった姿を見たり聞いたりすると、心からうれしく思います。
現在クリニックに来ていただいている小さなお子さんたちも、これから成長していく姿を、ご家族と一緒に見守りたいという思いで、スタッフ一同、日々診療にあたっています。
このクリニックも年を重ね、自分自身や建物設備の老朽化など、いろいろ不安はありますが、地域の皆さまのお手伝いができるよう少しでも長く頑張れればと思います。
信州医療センター小児科
住所 大字須坂1332
電話番号 026-245-1650(代表)
受付時間(外来診療) 月~金曜日 午前8時30分~11時30分
現在、午後診療を試行的に行っています
受付時間 水・金曜日午後1時30分~4時
【ご注意ください】
- 2026年3月末まで(来年度は未定です)
- 状況により受付終了時間が早まることがあります。紹介状がない場合は、選定療養費(保険対象外)がかかります。

小児科部長:南 勇樹先生
櫻井文佳先生と二人体制で午前に一般外来を行っています。午後の前半は予防接種や乳児健診など、午後の後半は専門的な外来を予約制で行っています。水・金曜日以外の午後の発熱などは、他院を受診していただくこともあります。
小児科医は、目の前のその瞬間だけではなく、その子の人生を考えて診療します。そのため、その子に影響を及ぼす家族、地域、幼保園、学校など周囲の環境全てと連携協力していくことが必要だと思っています。その子が幸せと思える人生を送れるように支援していきます。
診療時間外に受診するか迷ったら
長野県小児救急電話相談(夜間の電話相談窓口)
長野県では、お子さんの夜間のけがや急病などで、対処に戸惑う時やすぐに受診するか迷う時に、医師や看護師・保健師が電話でアドバイスをしています。「診断」とは異なりますのでご了承ください。
相談時間 午後7時~翌日午前8時
電話番号 #8000(局番なし)
ダイヤル回線・IP電話の場合は、電話番号026-235-1818
「こどもの救急」(日本小児科学会作成ホームページ)
生後1カ月から6歳までのお子さんを対象とした受診の判断の目安を提供しています。
子どもの熱中症を防ぎましょう
子どもは体温調節機能が未発達です。特に汗をかく機能が未熟で、大人と比べて暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかり、体温が上昇しやすくなります。
予防法や対策などは、こども家庭庁ホームページ(みんなで見守り「こどもの熱中症」を防ぎましょう!)も参考にしてください。
こんなときはどうする? 子どもによくある症状の対処方法Q&A

信州医療センター小児科の櫻井文佳先生にお話を伺いました。
熱を出した場合
Q 夜間に子どもが熱を出した場合は?
A もともと元気なお子さんが急に熱を出す原因は、ほとんどがウイルス感染によるものです。基本的にウイルスに直接効果のある薬はありませんので、症状が発熱やかぜ症状だけである程度元気があり、水分も取れるのであれば、診療時間まで待って受診することをお勧めします。
生後3カ月に満たない赤ちゃんの38度以上の発熱、ぐったりしている、ゼーゼーして呼吸が苦しそう、けいれんなど、いつもと違う様子があれば、すぐに受診してください。悩む場合は、#8000に電話して相談してみても良いと思います。(平日・休日ともに午後7時~翌日午前8時)
Q 高熱が出た場合、脳に障害が残る心配は?
A 高熱そのもので脳に障害が残るということは医学的に証明されていません。仮に熱が40度を超えたとしても、その原因がかぜなどの軽症の病気であれば、後遺症の心配は通常ありません。
Q 発熱時の解熱剤の使用は?
A 解熱剤は一時的に熱を下げ、子どもの苦痛を和らげる作用はありますが、もとの病気を治す効果はありません。ただ、一時的に熱を下げることで眠れるようになったり、水分が取れるようになったりすることはあるので、38.5度以上でぐったりしている時には使用してあげてください。
嘔吐した場合
Q ウイルス性などの胃腸炎で嘔吐が続く場合は?
A 少量ずつ糖分を含んだ水分を取らせてください。治療用経口飲料が薬局などで簡単に手に入りますので、脱水・低血糖予防にはこういった商品をお勧めしています。ただ、小児では、独特な味のため飲まないことがあります。その場合は、ジュースなどでも大丈夫です。ペットボトルのふたやスプーンから徐々に増やしていきます。嘔吐が続き、尿が少なくなるようであれば、脱水状態と考え受診しましょう。
感染症が流行しています
Q 「百日咳」はどんな症状? 予防法は?
A 普通のかぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増え激しい咳になります。その後、特徴のある発作性けいれん性の咳となり、咳と共に嘔吐を伴うこともあります。成人では、比較的軽い症状で経過することも多く、受診・診断が遅れ感染源になることがあります。乳児の周りでは特に注意が必要です。長引く咳などの症状がある方は、早めに医療機関を受診しましょう(潜伏期間は7~10日程度)。
予防法
- 手洗い、マスクの着用、咳エチケットなどの基本的な感染対策をしましょう。
- 予防接種(五種混合ワクチンなど)が有効です。生後2カ月を過ぎたらできるだけ早く計画的に接種しましょう。
- 1歳以下の乳児では、重症化することがありますので、家庭内感染などの予防に努めましょう。
Q 「伝染性紅斑(リンゴ病)」はどんな症状? 予防法は?
A 5~9歳ごろに最も多く発症します。微熱やかぜ症状のあと、両頬にチョウの羽のような境界鮮明な赤い発疹と、手足にレースのような網目状の赤い発疹が現れます。妊娠中に感染した場合、胎児にも感染し、胎児水腫など重篤な状態や流産のリスクとなる可能性があります(潜伏期間は10~20日程度)。
予防法
- 手洗い、マスクの着用、咳エチケット、換気などを心がけましょう。
- 発熱やかぜ症状があるお子さんと妊婦さんの接触はなるべく避けましょう。
お問い合わせ先
保健センター
電話番号:026-248-9023
更新日:2025年07月31日