2024年度行政視察報告 経済建設委員会
視察日程:2024年5月21日(火曜日)~5月23日(木曜日)
視察者:酒井和裕議員(委員長)、西脇隆議員(副委員長)、荒井敏議員、堀内章一議員、中島義浩議員、石合敬議員
視察地:埼玉県越生町、北海道当別町、北海道小樽市
1.埼玉県越生町 「旧越生町ふれあい健康センターについて」
選定理由
須坂市ふれあい健康センター(湯っ蔵んど) は、1997 年に開館して以来、建設から26 年が経過し施設の経年劣化が進んでいる状況である。市としては、指定管理者の「蔵のさと温泉共同企業体」に指定管理期間(2027年3月)までは、管理運営をお願いする方針であり、その後については、市民からの意見をお聞きし、議会と協議しながら今後の施設の在り方を研究しているところである。
視察先の「旧越生町ふれあい健康センター」については、町民アンケート調査、議会への協議等、段階を踏みながら方向性を模索。最終的には、民間企業と建物貸借契約(20年間)を締結し、2024年4月に譲渡されている。
その経緯・経過、取り組むにあたっての課題等は、参考になると考え、視察先として選定した。
視察先の状況
町の概要
- 人口:5,088人(2024年3月末時点)
- 世帯:10,803世帯
- 面積:40.39平方キロメートル
概要
埼玉県越生町の「ゆうパークおごせ」は2019年8月「ビオリゾート ホテル&スパ オーパークおごせ」にリニューアル。前進の「ゆうパークおごせ」はバブル経済の真っ只中の1995年に開業し、整備費に30億円以上を投資した。開業から年間15万人の入館者を集めたが、2017年には7万人を切って利用者数は(町内の利用者数25パーセント)当初の半分以下となり、集客力の減少と共に、老朽化が進み、2015年からは指定管理制度を導入したが2016年の売り上げは1億4500万円まで減少した。このように至った要因は、当初から「ゆうパークおごせ」は沸かし湯であり、越生町周辺に民間温浴施設が当初の3か所から8か所に増加したこと。更には大型アウトレットレットモール(レジャー施設併用)の誕生等、レジャーの多様化が進み、家族全員でモールで過ごす機会などが生まれたことから「ゆうパークおごせ」の魅力が衰えていった。越生町では、「ゆうパークおごせ」の長期貸借そして民営化『株式会社温泉道場』へと、温浴施設の事業再生に取り組んできた。今般株式会社温泉道場から、土地建物の譲渡に向けた申し出があったことから、2024年4月1日に譲渡された。
ビオリゾート ホテル&スパ オーパークおごせ現地視察
2.北海道当別町 「北欧の風 道の駅 とうべつについて」
選定理由
「北欧の風 道の駅とうべつ」当別町は札幌市と石狩川を挟んで隣接しており、須坂市が千曲川を挟んで長野市と隣接している立地が似ている。当施設は2019年と2023年の1月から5月を比較して、訪問外国人数の伸び率が全国1位となっており、須坂市も湯っ蔵んどに道の駅を設けたらとの構想もあるため先進地としての視察先として選定した。
視察先の状況
町の概要
- 人口:15,230人(2024年3月末時点)
- 世帯:7,774世帯
- 面積:422.86平方キロメートル
概要
「北欧の風 道の駅とうべつ」は小樽市、石狩市、札幌市方面から江別市を経由して千歳空港、苫小牧へと通じるトラック等の通行量もかなり多い国道337号線に面しており、平成26年に道の駅基本構想、基本計画を策定し平成27年に設計、平成28年2月用地取得。(用地の建物等の用地は当別町の農地で、駐車場部分は国交省の土地)平成28年3月着工。平成29年9月開業。
経営主体は指定管理者の当別町地域商社「株式会社tobe(トゥビー)」が担っており、その役員構成は常勤の代表取締役には、前当別町長の宮司氏が就いております。その他には現当別町副町長や、商工会会長、農協組合理事、農業法人取締役、地元銀行支店長等が就いており、町全体で支えている様です。また、出資も町、商工会、農協、地元金融機関、町内企業で構成されております。建物は建設工事費10億6,780万円で、当町の姉妹都市でもあるスエーデンのレクサンド市との関係の立派で木のぬくもりを感じられる北欧風の建物で非常に素敵な建物です。店舗の中は当町の主力企業で、人気のチョコレートのロイズのコーナーや、地元農産物及びその加工品が豊富で、レストランやキッチンも人気があるようです。しかし、冬季は地元農産物もありませんし、雪がかなり降りますので閉鎖するとの事です。人気の秘密としては、トイレが広く綺麗で、女性用のパウダールームまであって気持ちの良い施設になっております。変な言い方をすれば綺麗なドライブインともとれる施設だと感じました。屋外には広い芝生の交流広場も有り、休日のイベント広場や、来場者の休憩場所にもなっております。
営業状態は、当初の戦略目標の、開業6年目の2024年度の年間来場者目標100万人に対し、99万人とほぼ達成しまして、6年間での来場者約519万人、販売額25.4億円となっております。お聞きすると2023年度の収支はぎりぎり黒字の計上となったようです。訪問外国人数伸び率が全国1位だったのは、基準年度人数が少なかったためで、昨年度総数では300人程度で決して多くは有りません。
質疑応答(抜粋)
- 質問:道の駅設置前の土地は。
- 回答:農地である。
- 質問:インバウンドの状況は。
- 回答:東南アジアからの来客が多い傾向である。ロイズカカオタウンがオープン後、増加した。令和6年度は、ホームページの多言語化、看板設置を実施し、状況を注視したい。
- 質問:観光誘客を促進するために近隣市町村と連携していることは。
- 回答:札幌連携中枢都市圏9自治体で連携している。台湾でのPR活動、海外インフルエンサーによるPRを実施している。
- 質問:冬期は、農産物直売所で何を販売しているのか。
- 回答:農産物直売所は営業していない。大根やビニールハウス栽培はしているが、集客が見込みない。冬期は来客数が減少するので、課題と感じている。
須坂市への提言等
須坂市は湯っ蔵んどに道の駅開設の構想を模索している様ですが、この当別町の「北欧の風 道の駅とうべつ」を視察しまして、こことは国道の通行量が圧倒的に違いますし、近隣の長野市等からわざわざ訪れる事は考えられない。もし開設するとしたら、5月21日に視察した越生町の温浴施設兼宿泊施設の「ビオリゾートホテル&スパ オーパークおごせ」のように温浴施設の周りにロッジやグランピングのテント及びBBQ設備を設けてリゾート宿泊施設にする事が望ましいと思う。
3.北海道小樽市「観光振興の取組について」
選定理由
須坂市は、長野市に隣接しており交通アクセスに恵まれ、蔵の町並み、臥竜公園、米子大瀑布、五味池破風高原、峰の原高原等、歴史・文化、自然等の観光資源が豊富にあります。また、須坂長野インターチェンジ周辺地区は、観光集客のための民間開発が進み、2024 年 12 月に「(仮称)ルートイン須坂」が建築完了予定、2025 年秋には大型商業施設「(仮称)イオンモール須坂」・「アークランズ」の開業が予定され、今後、 市内外から多くの集客が見込まれており、観光消費額等の向上も期待されています。
平成20年小樽市議会第3回定例会において、「小樽観光都市宣言」が決議され、市民、観光事業者、観光関連団体、経済界、行政が一体となって、より質の高い時間消費型観光のまちを目指して、「観光都市・小樽」を宣言し、観光振興に係る財源確保を目的とした小樽市観光税導入等、様々な事業を計画・展開されています。また、北後志6市町村が連携し、地域内への外国人観光入込客数の増加に向けた積極的なプロモーション活動等を展開している取組やDMOへの登録など、参考になると考え視察先として選定した。
視察先の状況
市の概要
- 人口:105,661人(2024年3月末時点)
- 世帯:60,588世帯
- 面積:243.83平方キロメートル
概要
運河再生により観光都市化が進み年間800万人もの観光客が訪れる。しかし、人口の激減とコロナ禍により令和3年には300万人を割込むが現在は回復傾向にある。
港湾を活用した物流拡大、豊富な新鮮食材を使った加工食品の全国的な販路拡大、北海道新幹線に伴う整備と経済波及策に取り組んでいる。外国人客の入込はコロナ前の水準に戻りつつある。
視察先での説明及び質疑応答
市役所で職員より、令和2年度の観光動態調査の概要、令和4年度の観光入込客数の概要、小樽市の宿泊税の議論経緯・制度や使途に関する基本的考え方、道内の小中学生対策としての宿泊補助金制度、道外の高校生対策としてのPR策、補助金の受皿として後志20市町村での連携策、東南アジア特に台湾に向けての現地プロモーションなど多岐に渡る説明を受ける。
コロナ後の訪日外国人観光客の動向への質問には、ホテルの新設が2件・リニューアルが1件あり回復傾向とのこと。また、欧米や豪州客の滞在日数が多く、消費額も多いことが特徴だそうです。民泊についての質問には現在96軒の登録があり、実害は発生していないが騒音や怖いとの相談はあるとのこと。今後の観政策についての質問には夜の取り組み、花街ツアー、ナイトインフォメーション、朝のコンテンツとして朝市プレイヤー確保、北海道ワインの生産量日本一のPR活動を発展させていきたいとのこと。DMOの活動の質問には登録が出来た段階で、観光協会の事業と調整を図り進めていきたいとのこと。
質疑応答(抜粋)
- 質問:外国人観光客とのトラブル対処は。
- 回答:各施設で収めてもらっている。
- 質問:宿泊客増加に向けた施策の主なものは。
- 回答:第2期 観光基本計画の受入態勢の整備の課題の一つとして、滞在時間の短さ、宿泊が少ないことが上げられている。宿泊施設の不足は行政できないので、民間投資を促す必要がある。そのために、民間の判断材料として観光消費額や観光動態を調査している。また、宿泊に結び付けるため、夜の魅力「ナイトタイムエコノミー」に力を入れている。宿泊しても行くところがないとの声もあり、ナイトインフォメーションを開設した。小樽市はワインも有名なので、飲んでもらうことで宿泊に繋げたい。また、朝のコンテンツについても検討している。
須坂市にどう生かせるか
インバウンド対策を行おうとすれば本腰を入れて行かないならないと感じた。インバウンド需要を自ら作り出し、自からのプロモーションが必要だろう。宿泊支援策は就学旅行先選択の参考になるようだ。滞在対策や周遊対策、広域観光対策など学べる事項が多かった。イオンモールの開設に合せた観光・交通計画の必要性を感じた。
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更新日:2024年09月18日