2024年度行政視察報告 福祉環境委員会
視察日程:2024年5月21日(火曜日)~5月23日(木曜日)
視察者:荒井一彦議員(委員長)、浅野隆義議員(副委員長)、野崎天馬議員、宮本泰也議員、竹内勉議員、霜田剛議員
視察地:、鹿児島県霧島市、宮崎県小林市、宮崎県宮崎市
1.鹿児島県霧島市「基幹相談支援センターについて」
選定理由
基幹相談支援センターは、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として、障害者相談支援事業及び成年後見制度利用支援事業並びに身体障害者、知的障害者及び精神障害者に対する相談等の業務を総合的に行う。
須坂市は「第7期須坂市障がい福祉計画」において、須高地域3市町村で2026年度までに基幹相談支援センターの設置を目指している。霧島市は既に5年間の実績があり、参考とすべく視察先とした。
視察概要(視察先の施策と実績)
- 人口:121,846人(2024年6月時点)
- 面積:603.1平方キロメートル
視察の概要
1.経過
- 以前は障害に関する相談事は、市の窓口である障害福祉グループに寄せられており、職員は専門知識を有した職員ではないことから、対応に苦慮する場面も多い状況だった。また、障害者や障害児、難病を抱える方、特に精神障害に関する対応など、市に支援を求める声、不安や悩み事などの相談件数も増え、またその内容も複雑多様化しており、より専門的な対応を求めることもあった。
- 専門的な資格を有する者を配置し、障害者等からの相談に適切に対応する機関の早急な設置が求められるようになり、平成29年から30年にかけて、関係者で協議を重ね、平成31年4月霧島市基幹相談支援センターが開設した。
2.主な業務等
- 霧島市障害者自立支援協議会(地域が協働する場、地域づくりの場=住み慣れた地域でその人らしく暮らせる地域を支援するための組織、1.各専門部会、WGで地域の課題の把握・課題に向けた取り組みの検討、2.運営会議でそれぞれの課題を出し合い、解決策の検討や優先順位の検討を行う、3.自立支援協議会全大会につなぐ)の事務局の一部として機能する。
- 地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として、障害者相談支援事業及び成年後見人利用支援事業並びに身体障害者、知的障害者及び精神障害者に対する相談等の業務を総合的に行っている。
(職員体制)
- 所長1名(包括兼務)、相談員(常勤4名)、事務員1名
- 相談員は、相談談支援専門員、精神保健福祉士、社会福祉士、保健師等
(主な相談内容)
- 障害者から相談が多いのは、お金のこと、就労のこと、病状のこと。お金に関しては生活費の部分、お金の使い方の部分の相談が多い。障害年金の申請に関する相談も多い。就労に関しては主に福祉就労(就労A型、就労B型など)などに関する情報提供や見学同行支援などの相談や要望が多い。診断を受ける前の状況で手帳を取得するとどのようなメリットがあるのか本人、家族から受けることもある。
須坂市への提言等
霧島市のセンター相談員には主任者1名が、社会福祉士、精神保健福祉士、ケアマネージャー、介護支援専門員、相談支援専門員の資格を持ち、中心となりスーパー相談員として活躍されている。主任者の説明を聞き、素晴らしく感じた反面、当該主任者が休んだり辞めたりするとどうなるかと不安に感じた面もある。須坂市の場合には1人のスーパー相談員に頼るのではなく、相談員がグループで相談や支援に当たり、職員が休んでも支障がないセンターの体制が必要だと考える。また、相談員は勉強会、研修会などに参加し知識や経験をさらに深めてほしいし、将来に向けて新しい相談員を育てる予算も必要だと考える。相談員の器量やレベルによって相談者の人生も変わってくると考える。
質疑応答(抜粋)
- 質問:地域の相談支援事業者の専門的指導、助言の具体的方法について。
- 回答:電話や来所、事業所へ訪問し、対象者や事業所、医療機関への対応方法などを助言指導している。相談員主催の担当者会議や業イン主催のケース会議に参加し、対応方法や支援方法の助言を行っている。内容は、活用できる制度や社会資源やサービス利用までの支援など。
- 質問:成年後見センターとの連携、成年後見制度利用支援事業を行っているか。
- 回答:成年後見戦制度を利用されている、又は利用を希望している方の支援者(相談支援専門員也支援事業所)へのつなぎや利用者本人支援において情報共有などを行っている。霧島市では霧島市成年後見センターを社会福祉協議会に設置しており、成年後見利用支援事業は成年後見センターが行っている。
- 質問:児童発達支援センターとの連携について。
- 回答:児童発達支援センターとは自立支援協議会こども専門部会の運営において療育現場の実情や保護者支援の在り方などを共有している。また、障害児から障害者になる18歳の節目のところで放課後等デイサービスを終了し、一般就労される方などの相談先として引継ぎを受けるケースもある。
- 質問:地域移行・地域定着に係る具体的な施設は。
- 回答:グループホームが一番要望が多い施設になっている。また、アパート入居希望の方もいるため、今日中サポート支援を行う事業所との連携も必要になっている。
- 質問:精神科病院との連携は。
- 回答:医療保護入院退院支援会議や退院前カンファレンスへの参加、本人の依頼での受診同行時や日常支援時の体調変化などを情報共有している。
2.宮崎県小林市「こばやし健幸ポイント事業について」及び「国民スポーツ大会の準備について」
視察先の状況
- 人口:41,257人(2024年7月時点)
- 面積:562.95平方キロメートル
「こばやし健幸ポイント事業について」
須坂市健やか計画21では、市民が自分や家族の健康に関心を持ち、健康状態を知り、健康づくりの活動を実践できるよう取り組むとしており、だれにでもできる体重測定や血圧測定、ウォーキングという簡単な実践から健康づくりに意識を向け、自分の健康状態を確認し、生活習慣を振り返り、自ら生活習慣を改善するきっかけ作りとして「須坂健康チャレンジ」事業を実施しているが、ウオーキング部門・体重部門・血圧部門だけである。小林市では、ICT技術を活用したポイント制度でスマホアプリ及び通信機能付き活動量計を用いて歩数のカウント及び健康活動に対するポイント付与を行う。活動量計は操作も容易であることから幅広い年代の事業参画を可能としている。歩数の他、体組成や血圧のデータ管理ができ、健康活動の継続性向上につながり、また、ポイントの対象に市が実施する健康教室等を対象とすることで、効率的な健康教育の実施が諮られている。参加者も多く有料参加制度もあるこばやし市の状況を知る必要があるため選定した。
視察概要
健幸ポイント事業の概要について
市民の歩く機会の増加及び外出したくなる仕組みづくりとして、歩数アプリを活用した「こばやし健幸ポイント」事業を令和2年度から開始している。
参考とした自治体:新潟県見附市
参加状況
令和2年 614人
令和3年 921人 新規 513人 継続率 66.4パーセント 満足度 93.1パーセント
令和4年 1,013人 新規 360人 継続率 70.9パーセント 満足度 95.6パーセント
令和5年 1,403人 新規 610人 継続率 78.3パーセント 満足度 93.0パーセント
令和5年度事業内容
アプリに歩数、血圧、体重等を記録し、自身の歩数グラフや健康状態を見える化しながらポイントを貯める。貯めたポイントは最大3,000円分の景品と交換できる。歩数ランキングや抽選会なども行い、参加者が楽しみながら運動を習慣化できる仕組み
1.参加方法 有料参加:専用歩数計又は専用アプリ、無料参加:専用アプリ
2.参加料 有料参加 1,000円
3.対象者 市内に在住又は在勤する18歳以上の者
4.申込期間 令和5年6月15日~7月20日(以降、随時申込受付)
5.実施期間 令和5年8月1日~1月31日(6か月)
6.アンケート 2回実施(実施前の7月と実施後の2月)
7.ポイントの種類
【歩数】1日の歩数(最小2,000歩~最大8,000歩以上)
【検診】健康診断、特定健診、長寿健診の受診
【がん検診】各種がん検診の受診
【イベント参加】指定する健康イベント等の参加
【測定会参加】実施前と実施後の測定会参加
【アンケート】実施前と実施後のアンケート回答
【BMIの維持・改善】実施前後の測定会時のBMI維持・改善
【紹介】新規参加者の紹介
【特別参加】指定するイベントの参加
8.ポイントの獲得方法
【歩数計利用者】データ送信及びイベント参加記録を専用端末(歩数計)で行う
【アプリ利用者】データ送信及びイベント参加記録をスマートフォンで行う
9.ポイントの交換
事業実施後、獲得したポイントを1ポイント1円で換算し、下記のものと交換(上限3,000ポイント)
【QUOカード】 最小交換単位500ポイント
【宮崎牛消費券】 最小交換単位1,000ポイント
【小中学校PTAへの寄付】最小交換単位500ポイント
10.イベントの内容
・ウオーキング教室2回
・企業対抗ウオーキングチャレンジ
・お楽しみ抽選会4回
・筋トレ・ストレッチ
・健康づくり教室・講座
・生涯学習講座
・地域交流イベント
・その他スポーツ
事業の成果
令和5年1日当たりの平均歩数が8,000歩以上の参加者割合が、参加前の15.6パーセントから33.5パーセントに(17.9ポイント増)
ポイント交換状況
令和2年 QUOカード 923,000円 宮崎牛消費券 288,000円
令和3年 QUOカード 1,170,000円 宮崎牛消費券 754,000円 PTA寄付 132,500円
令和4年 QUOカード 1,166,000円 宮崎牛消費券 703,000円 PTA寄付 71,500円
令和5年 QUOカード 1,521,000円 宮崎牛消費券 870,000円 PTA寄付 53,500円
視察の成果とまとめ
参加人数が年々多くなり、継続率も8割近く満足度もかなり高く、成果が上がっている。
ウオーキング部門だけでなく、検診や各種イベントもポイント対象にするなど総合的に市民参加を促進している。
経費についても有料参加者に1,000円を負担することにより、自分事としている。また、市負担の縮減に寄与している。
市内企業を巻き込んでいることは極めて重要である。
須坂市への提言等
須坂市健康チャレンジは、2か月以上(血圧測定部門:毎日1回、体重測定部門:毎日1回、ウオーキング部門:1日30分以上かつ週2日以上)でライト等の景品がもらえるが、参加人数が少なすぎる。総合的に範囲を広げ、ポイント制とし拡充すべきである。また、市内企業向けに「働き盛りいきいきセミナー」も拡充し、市全体の施策に結びつけることや有料参加の導入も必要と考える。
質疑応答(抜粋)
- 質問:健幸ポイントの付与ポイントは開始以来、試行錯誤して現在のポイント数か。
- 回答:令和2年度から開始し、現在はおおむね固定されている。毎年見直したり、令和6年度は、新しいポイントも検討している。
- 質問:自走させていくための財源について
- 回答:コロナ禍もあり、臨時交付金など活用している。今後基本的には、参加者数を、増やしていきたい。ある程度中身を見直しながら、活用できる財源を活用したい。市長も最重要施策ということで健康のまちづくりに取り組んでいる。景品に関しては参加料と、国民健康保険からの繰入金がある。最終的には医療費抑制効果の成果を目ざす。
- 質問:医療費など、目に見える効果はあるか。
- 回答:1人当たりの医療費は現在は伸びている傾向。介護の給付費等この事業の前後での効果測定も分析したい。小林市は高齢者に対して、自立支援型の介護予防で、力を入れて取り組んでいる。その効果もあり、小林市の介護認定率はここ数年横ばいで押さえてる。介護給付費も、コロナの時期の利用控えもあるが、コロナ後も、閉じこもりの対策、介護予防の運動や、個別の訪問を実施し、年々落ちてきている。
- 質問:事業参加者も目標人数は。
- 回答:人口の1割を目指している。人口が4万2,000人なので4,200人を目指したい。男性は40代、50代が伸びて企業訪問の効果とみている。女性は60代70代が多い。女性は口コミ効果が大きいと。募集を開始すると既に友達から聞いたという人が多い。ポピュレーションアプローチの効果。医療費抑制効果を考え、70歳以上の方の参加者を増やしたい。あわせて、若い世代の方も運動の習慣化を図っていく必要があるため引き続き働く世代をターゲットに取組を行いたい。
- 質問:ポイント交換でクオカードがあるが、大手チェーン店などで利用されるのではないか。地元商店振興策の検討は。
- 回答:市内の店舗で使える商品券も検討したいが、商品券の発行に費用がかかるため現在は実施していない。
「国民スポーツ大会の準備について」
選定理由
長野県では、2028年に第82回国民スポーツ大会・第27回全国障害者スポーツ大会がポーツ大会が開催される。また、2024年度には市役所に国民スポーツ大会準備室が設置された。前年の2027年には、第81回国民スポーツ大会・第26回全国障害者スポーツ大会が宮崎県で開催される。なお、須坂市で開催予定のトランポリン競技について、小林市で開催される。国民スポーツ大会の準備体制の概要について、これまでの経過、現在の取組内容、今後の課題や検討事項、などについて調査し、参考とすべく視察先とした。
視察概要
小林市は、高校の競技力が全国レベルにある強みを生かし、小林高校が駅伝やバスケットボール、ハンドボール、新体操などにも力を入れている。小中高連携による競技力向上の取組や、各種大会の開催、合宿の誘致を積極的に行い、スポーツのまち小林を広くPRする施策を進めている。
市の多彩な魅力を発生する絶好の機会であり、本市の都市像である、「みんなでつなぐ笑顔あふれるじょじょんよかと小林市」の実現に向けて、市民、関係団体、企業、行政などが相互に連携を深め、小林市の総力を結集する大会を目指す
地域スポーツの活性化と健康のまちづくり実現に向けた大会、大会をさらなる契機として、本市の重要施策である、健康のまちづくりを具現化する大会を目指す。
自ら参加する大会、今後、子供から高齢者まで多くの市民が大会の開催準備に携わってもらうことで、開催機運を高め、市民総参加型の大会を目指す。
スポーツのまちとして、さらなる飛躍につなげる大会、この大会を一過性のものとせず、今後のスポーツ合宿誘致や、市民のスポーツや生きがいづくりに対する意欲や関心を高める大会とする。
まとめ
小林市では受け持つ競技の数が6種目あり、須坂とは条件の違いはあるが、今の段階でやっておいた方が良いことはあるか。との問いに、できるだけ早く専門委員会の設置をすることを勧められた。宮崎市では、担当職員を現在国スポ準備を行なっている県に派遣し、実際の現場を経験させるなどの取り組みをしている。
しかし、県や自治体へ負担が大きくかかる国民スポーツ大会そのものに関して担当の方は、都道府県の財政負担の重さ、都道府県の人的負担の重さ、競技施設(新築、改修、維持管理)の費用負担の重さなどの問題があり、今後大会を続けていくには何らかの見直しは必要ではないかという。
個人的にも今一度、何のためにやるのか、誰が必要としているのかを改めて考え直す必要があると感じた。
須坂市への提言等
須坂市におけるトランポリンの普及には、現在、市内のチームが活動していて、定員オーバーになるほど人気があるが、場所は市内の体育館を借りておこなっている状況。今後さらに盛り上げていくためにはベースとなる場所を作り、可能であれば競技用トランポリンを設置し、なるべく多くの子どもたちに参加してもらうことも必要と感じる。
また、市内3か所の児童クラブにトランポリンが置いてあるが、普及指導員は0人(県内17人)で安全確保のためにも普及指導員資格を増やすべきである。トランポリンはとても楽しくできるスポーツであると同時に、大怪我につながる危険性の高いスポーツであることの認識が必要である。
質疑応答(抜粋)
- 質問:ドーピング検査室の確保にあたり、既存の部屋を活用されるか、新たに部屋を設置(仮設含む)されるか。選手、観客の導線分けについて
- 回答:今後、それぞれの競技団体と調整を行いながら実施する予定で、詳細は未定。
- 質問:県や関係団体等との協議の方法について。
- 回答:宮崎県は今年度から部に格上げされた宮崎県国スポ・障スポ局が設置され、約60人体制で業務を行っている。細かな担当者が決まっているので、担当者会議に参加したり、業務の担当者と随時協議している。関係団体との協議は、準備委員会の構成に、スポーツ団体、関係団体等市内のあらゆる団体に委員になっていただいているため、情報共有し、今後も一緒に視察に行くなど市を挙げて取り組む。
- 質問:運営に際し、専門職(元選手、経験者等)の採用、委嘱等について。
- 回答:準備委員会の委員に、競技団体の代表者や実務者を含めて各関係機関の方々には入っていただいている。そのほか、市役所のほかの部署にいる競技団体関係者との協力は随時行い調整しながら進めている。
- 質問:トランポリンは購入する予定か、借りる予定か。
- 回答:具体的には、未定。原則国スポ関係は、全て仮設。大会のときにリースして行うのが基本。トランポリンは協会もあり、地元に指導者も複数いる。トランポリン自体もある。今後、市の競技力向上や普及のために、今後の状況次第では必要に応じて購入する選択肢もある。
- 質問:1年前にできればよかったことは。
- 回答:専門委員会の設置。今年度、室が出来て、別の部署から集まった。初めて常任委員会というのを開催して専門委員会の設置を認めてもらった。専門委員会をつくらないことには、それぞれ細かい計画、要綱、今後の方針がなかなか決められない。細かいことは全部専門委員会で、各団体の代表者ではなくて、実際の実務者に集まってもらい協議することは今後増えていくと思われる。
- 質問:専門委員会が5つあるが、推進室の職員がメインでやっていくっていう形か、又は主担当の部署があるのか。
- 回答:実際の運営は推進室の職員が行う。庁内関係部署との連携も力を入れていく。
- 質問:正規職員4名から、今後の職員体制について
- 回答:要望としては、大会年度、令和9年度は20名体制ぐらいにできれば。先催市の体制を参考にする。同程度の規模で、同様の競技状況では大体20人ぐらい。
宮崎県宮崎市「総合スポーツ戦略都市、国民スポーツ大会の準備について
選定理由
宮崎市では、市民一人ひとりが自分の体力や能力に応じて、生涯にわたり、気軽に運動、スポーツを楽しめるスポーツライフを実現するため、時代の変化や市民ニーズに即した、宮崎市スポーツ推進計画を策定し、総合スポーツ戦略都市を推進している。
須坂市では、体育施設の利用者数が減少傾向にあり、スポーツの推進の方策について調査し、参考とするべく視察先とした。
また、長野県で開催される前年の2027年に、第81回国民スポーツ大会・第26回全国障害者スポーツ大会が宮崎県で開催される。国民スポーツ大会の準備体制の概要について、これまでの経過、現在の取組内容、今後の課題や検討事項、などについて調査し、参考とすべく視察先とした。
視察先の状況
- 人口:394,932人(2024年7月時点)
- 面積:643.57平方キロメートル
視察概要
総合スポーツ戦略都市みやざきについて
スポーツランドみやざきの推進とは、プロ野球やJリーグ等のプロスポーツキャンプの受け入れ態勢の充実を図るとともにプロゴルフトーナメントなどのプロスポーツイベントの開催を支援するなど認知度の向上と誘客の促進を図る。
温暖な気候や恵まれた自然、スポーツ施設などの良好な環境を国内外に発信しアマチュアスポーツ大会や合宿を誘致するなど総合スポーツ戦略都市宮崎の取組を推進する。
多くの自治体が、スポーツ施設は教育委員会が所管すると思うが、宮崎市も昔はそうだったが、球団等の要望にスムーズに対応できるように、市長部局が所管する。
1つの自治体でプロ野球の3つの球団がキャンプ地としているのは宮崎市だけ。
スポーツキャンプに適した気象条件であり環境が良い。平均気温、快晴日数、日照時間は日本全国でもトップのクラス。ほかにも、宮崎牛、最近だと餃子などがおいしい食事も豊富にある。良い食事で、選手のパフォーマンスも上がるという研究結果もある。
宮崎市スポーツ等合宿の特典として、1.宿泊費補助、2.バス送迎補助、3.宮崎県特産品若しくは飲料の贈呈を行っている。(1.、2.はアマチュアスポーツ等団体)
国民スポーツ大会の準備について
長野県の1年前、3年後に宮崎県で開催をされる。
会期は9月末から10月上旬を予定。他県より少し早いが、県内の宿泊業者と協議し、フェニックスリーグの影響。
宮崎市開催の競技は13競技。宮崎市総合体育館のほか施設の改修が必要なものは改修を行う予定。
市役所の組織は、国スポ・障スポ準備課は今年度新設され、現在15名体制。従前は、スポーツランド推進課内にあり、令和4年度は3名、令和5年の6月から4名の体制で今は15名、来年度以降、倍々と増やす予定で、30名、60名体制と考えているが、未定。先催市の鹿児島市、佐賀市などでは70名体制ぐらいと聞いている。宮崎市では、スポーツ大会、スポーツ合宿に慣れていることもあり、そこまでは不要と考えている。
今年度中に準備委員会から実行委員会へ改組する予定。
今、話題になっている国スポ大会の費用問題=廃止論は、あくまでも県単位のお金。当然競技をやる自治体の負担もすごく大きい。
今年行われる佐賀市は14競技あるが宿泊施設が少ないため、選手の輸送費、交通費も見込んで大きな予算を見ているが、そういったところはマスコミではわからない。
宮崎市はこれだけスポーツキャンプを実施している、ノウハウがあっても、それぐらいかかる。お金がかからないスポーツ大会を市として目指す。お金かければ何でもできる話、今までのノウハウ、環境等を見ながら、県と、二重三重でやることが無いように、できるだけスリム化したいと思っている。
まとめ等
第5次宮崎市総合計画の基本目標4「魅力ある価値が創出されている都市(まち)」、重点項目4-1「交流人口や販路の拡大を図る(ブランド力の向上)」の11項目の一つとして、スポーツキャンプや合宿、大会誘致を図るとともに、認知度のあるプロスポーツキャンプ等を生かし、誘客効果の高い取組を推進するとしている。
この計画に沿って、官民一体の「スポーツランドみやざきの推進」として、1.プロ野球やJリーグ等のプロスポーツキャンプの受入態勢の充実、プロゴルフトーナメント等のプロスポーツイベントの開催支援など、スポーツランドみやざきの認知度の向上と誘客の促進、2.温暖な気候や恵まれた自然、スポーツ施設などの良好な環境を国内外に発信しアマチュアスポーツ大会や合宿を誘致など「総合スポーツ戦略都市みやざき」の取組推進、3.プロスポーツやアマチュアスポーツ大会、合宿等による誘致と、観光資源が連携したスポーツツーリズムの取組を推進する。
令和6年春季キャンプは、プロ野球7球団、Jリーグ18チームが実施、アマチュアスポーツも含めたスポーツキャンプ・合宿の実績はコロナの影響があったが、令和4年度は859団体・延べ参加人数16万8,403人で増加傾向に転じている。令和5年春季キャンプ(1~3月)で観客者数86万人、経済効果118億円、PR効果102億円。令和5年は侍ジャパン宮崎合宿の経済効果も大きい
スポーツランド推進課の体制は誘致係、施設係、市民スポーツ推進係の3係21人で事業を実施している。令和6年度の課全体予算は約14億8,800万円をかけている。
須坂市には峰の原高原にクロスカントリーコースがあり大学駅伝部が利用している。峰の原抗原ペンションや須坂温泉古城荘でスポーツ合宿の受け入れをしている。2028年度国民スポーツ大会ではトランポリン競技が須坂市で実施される。宮崎市の「総合スポーツ戦略都市みやざき」の取組を参考にして、須坂市でも官民一体でスポーツ振興、スポーツ誘客の推進の取組の研究・検討が必要ではないか。
質疑応答(抜粋)
総合スポーツ戦略都市みやざきについて
- 質問:須坂市では体育施設の利用者数は減少傾向にあるが、スポーツ推進の方策について。
- 回答:令和2年、令和3年とはコロナ禍で、利用者数が減少した。(令和3年の総合体育館の人数が多いがこれはワクチンの集団接種会場だったため)。令和5年度と平成30年度を比べると、総合体育館は平成30年が18万人、令和5年が13万5,000人と減少しているが、他の施設はそれほど減少していない。スポーツ推進計画で、ライフステージに応じた市民スポーツの推進、支えるスポーツの環境の整備、特色を生かしたスポーツツーリズムの推進というところで三つの柱を立てている。その代表格、地域主体の市民スポーツの推進として、地区対抗のスポーツ大会を開催し、例えばミニバレーボール大会、あと駅伝競走大会、グラウンドゴルフ大会、ニュースポーツ大会など、地区対抗のスポーツ大会を行っているため、その利用者数も多い。スポーツ大会を実施したり、実際にスポーツ推進委員が出向いて、そういったニュースポーツの出前講座を、体育施設でやっている。地区体育大会への補助、市スポーツ協会が主催する事業への補助、スポーツ教室等への補助、また総合型地域スポーツクラブリーダー協議会の補助など金銭面での支援も行っている。
- 質問:地域スポーツの推進に関して、総合型地域スポーツクラブの地域密着化について、具体的な取組内容、進捗状況、課題等について。
- 回答:宮崎市では、宮崎市総合型地域スポーツクラブ連絡協議会があり8クラブで組織されている。連絡協議会に対し、活動補助、広報誌の作成や大会開催、合同研修など活動の補助をしている。また、一部の総合型地域スポーツクラブに、学校体育施設開放運営協議会を委託している。総合型地域スポーツクラブは、地域スポーツの振興や住民のスポーツ実施率の向上に寄与するほか、地域コミュニティの担い手でもあるため、市としても連携を図りながら、総合型地域スポーツクラブの情報発信や広報誌への掲載等に協力している。
- 質問:合宿に訪れる団体数、経済効果について。
- 回答:合宿に関して経済効果は出ていない。宮崎市の合宿への補助事業ベースで、令和5年度は実績は90団体、人数にして、2,474人に補助をした。
- 質問:特色を生かしたスポーツツーリズムの推進、地域スポーツコミッションによる成果や市民の反応について。
- 回答:いろんな団体が共同でやる、スポーツツーリズムの推進を図る、いい意味で宮崎市は市と観光協会が、昭和の時代からずっと一緒にやっている。昭和の時代はキャンプは巨人だけだった。情報発信により徐々に宮崎のよさが分かってきていただけ、国内外に発信出来た。他球団、Jリーグにもキャンプに来ていただいているということが成果。市民の反応としては、キャンプの時期に施設を止めるため、施設を使えないといった不満はある。
国民スポーツ大会の準備について
- 質問:ドーピング検査室、選手観客の導線に関して
- 回答:施設内にある場所を利用したい。施設内に場所がなければ、仮設のトイレ等を設置する準備をしている。仮設設備に関して県の補助がるため活用する。ドーピング検査に来るか来ないかは事前にあるのでその時点で準備するかしないか決定したい。選手役員と観客の動線分けも今後検討する。改修改装する施設が多い。
- 質問:県やスポーツ団体、関係団体等との協議の方法
- 回答:県からの調査ものが多数来る。競技別の会議、競技用具の準備状況、役員編成調査等がある。競技団体と話をして、必要があれば顔を突き合わせて協議をしている。
- 質問:運営に際し、専門職(元選手、経験者等)の採用、委嘱等について
- 回答:宮崎市はスポーツ専門職としてスポーツに携わった職員を雇用をしている。平成8年度から採用し、現在14名の職員がいる。スポーツ行政に当たるだけではなく、一般職として働いてる。今いるスポーツ専門職で国スポ・障スポ課に所属してる職員は1人。専門職の職員がいるのはありがたいが、その職員が競技団体の役員をしていたりすると、その職員は2倍の仕事をしないといけない。現在、職員1人を5月から10月まで佐賀市に派遣し、現地で学んでいる。
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更新日:2024年09月18日