2026年度行政視察報告 総務文教委員会
視察日程:2026年5月18日(月曜日)~5月20日(水曜日)
視察者:水越正和 議員(委員長)、久保田克彦 議員(副委員長)、浅野隆義 議員、野崎天馬 議員、荒井一彦 議員、荒井敏 議員、酒井和裕 議員
執行部:子ども課長
視察地:京都府京都市、滋賀県野洲市、滋賀県草津市、石川県小松市
京都府京都市 「不登校特例校(洛風中学校、洛友中学校)について」
選定理由
「不登校児童生徒への新たな支援体制の構築と設置可能性の検討」
- 全国でいち早く設置された「学びの多様化学校(旧不登校特例校)」の先駆的な事例から、具体的なカリキュラム編成や生徒への寄り添い方を直接学ぶこと。
- 多様な学びの場の調査: 従来の適応指導教室以外の選択肢として学校設置という形態がどのような効果を持つかを確認すること。
- 施設利用の検討: 統廃合後の既存校舎を活用した学校運営の実態を調査し、須坂市の公共施設活用の参考にすること。
「不登校者数の増加という課題に対し、実績のある先進地を参考にするため」
- 全国的にも不登校児童生徒数が過去最多を更新し続けており、従来の支援だけでは限界がある可能性があるため。
- 京都市立洛友中学校のように、不登校支援(昼間部)と夜間中学を併設し、世代や国籍を超えた交流を行う独自の教育的価値を知るため。
視察先の状況
人口:1,436,247人(2026年4月1日現在)
世帯:746,014世帯(2026年4月1日現在)
面積:149.67平方キロメートル
議員定数:67人2026年度一般会計(当初):10,080億円
視察の概要
- 洛友中学校(不登校特例校)は、平成19年4月に開校し、不登校を経験した昼間部生徒と、義務教育を果たすことのできなかった夜間部生徒がふれあい学びあう中学校という特徴がある。学校は、公共交通機関で通学ができる旧中学の校舎を活用し、昼間部は、午後1時30分が登校時間(夜間部は午後5時登校)となっている。
- 市の「不登校相談支援センター」を通じて、本人の意向を探ったうえで、洛友(洛風)中学に体験入学(2月)し、3月に家庭面談、4月に再体験入学を行い、生徒及び家族の意思確認の上に5月から、転入学を受入れている。
- 昼間部の定員は15名だがR8年度は18名在籍。今年は12名の転入学生があり義務教育の最後の新3年生を優先しており「入学を断ったケースはない」と説明があった。
- 教職員の構成は、校長、教頭、教員・常勤講師6名(別に夜間部5名)、非常勤講師2名(音楽と家庭は他校から)、養護、事務、用務員各1名、各支援員が4名、SC,SSWが複数名、学校司書1名など。人員的に十分な配置については、「国の予算で5名ほど上乗せがある」と説明があった。
- 授業は、770時間(一般校1,015時間)と、ゆとりのあるカリキュラムを組み、卒業も認められている。生徒は1~3年のタテ割りで、3人の生徒を教員6人が担任しているが、授業は学年ごとの時間割で、ティ―ムティチングの形で行っている。授業についていけない生徒の対応…、生徒に合わせて授業内容を準備し、集団が苦手な生徒には別室授業も…。無理させない「ポッ、ポッでいい」「チョット休め」と教師から声をかけるケースも…、夏休み過ぎになると6割程度の登校となる。
- 週3回の交流・総合の時間で、夜間部と学習や活動を一緒に行うなかで、「成績や進路のためではなく、学びたいから学ぶ」という夜間部の生徒の姿勢から刺激を受けている。行事はハードルが高いと思われがちだが、参加率が高く、年間行事を多くし、活躍の場や体験の機会を多く準備している。登校できたことで、社会生活への自信になり、全員が進学していく…と説明があった。
- また、この校舎には、平成20年から教育支援センター(ふれあいの杜)が併設され、小学校4年生から中学3年生まで、4コース100名が通う。スタッフは、10名(会計年度任用職員)で、児童生徒のニーズに合わせて学習、集団活動を支援している。
須坂市への提言
洛友中学校で校長先生からお話しをうかがい、教室の授業参観もさせていただいた。心も体も疲れている子どもが充電する時間を大切にしながら…集団のなかで人前に立つまでを、大人(教職員、保護者)が受け入れ、苦労しながらひとり一人を励ます授業や活動が紹介された。
今回、洛友中学校の視察を通して、京都市教育支援センターが相談・面接を実施し、校内サポートルーム(全学校に設置し、専任配置は5割ほど)、教育支援センター(ふれあいの杜。市内中心に5学習室、3サテライトと多様なコース=受け入れ300名余)、そして不登校特例校(洛風、洛友=定員60人)、民間フリースクールとの連携など、子どもと親が自分に合う学校、居場所を選択できる多様な環境が保障(試行錯誤のなかで…)されていた、このことが重要だと思った。
中学校の不登校(R5年)を1,000人比で比較すると京都市は55人で、須坂市は67人と深刻だ。京都市の事例も参考にして、須坂市における不登校という課題に向き合い、ひとり一人の児童生徒が自分自身で選択できる多様な環境を保障していくことが必要だと考えさせられた。
質疑応答(抜粋)
- 質問:学校では不登校の生徒をどのように受入れていますか。
- 回答:教科だけ学びたい、半日だけ登校したい、一日登校したいなど、様々なコース設定を用意しています。生徒と保護者だけでなく、教育委員会も必ず本人と面談し、本人の通学意思を十分に確認した上で受入れを決定しています。
- 質問:不登校の生徒が学習面で遅れている場合、どのように対応していますか。
- 回答:学歴上の学年は変わりませんが、個々の生徒の学習状況に合わせて、別のプリントや授業のフォローを行っています。しかし、生徒に過度な負担をかけないよう、まずは学校に来ることを最優先し、学習は「できる範囲で」進めることを重視しています。
- 質問:生徒が学校で体調を崩したり集団での活動が難しい場合、どのような対応をとっていますか。
- 回答:教職員全体で「無理をさせない」という方針を共通認識としています。体調不良の場合は休ませたり、集団が苦手な生徒には別室でタブレットを通じた授業配信を行ったりします。早退や遅刻を咎めることはなく、生徒のペースに合わせた柔軟な対応を心がけています。
- 質問:学校の教員配置が手厚いように見えますが、どのような基準で配置されていますか。
- 回答:この学校の教員配置は、京都市独自の基準ではなく、国の不登校対策予算(プラス5人分)を活用して行われています。学校側で、夜間部など各部門に何人の教員を配置するかは柔軟に決めることができるものです。
- 質問:卒業後の生徒の社会適応について、どのように支援したり、考えていますか。
- 答:学校での生活を通じて、生徒たちは少しずつ自信をつけ、社会で通用する力が養われるケースが多く見られます。当初は社会の厳しさを懸念することもありますが、多くの生徒が学園生活で心が成長し、社会性を身につけて卒業後も力強く生きています。個々の生徒が自分のペースで社会に出ていく勇気を育むことを重視しています。
- 質問:各学校における不登校生徒向けの「別室登校」の整備状況はどのようになっていますか。
- 回答:京都市の全ての学校で、別室登校のための「サポートルーム」は設置されています。しかし、専任の教職員が配置されているのはまだ一部の学校に留まっており、多くの場合、既存の教員が兼務しているのが現状です。
- 質問:卒業生のその後の進路や社会での活躍について、追跡調査は行っていますか。
- 回答:正式な追跡調査は行っていません。同窓会や長く勤務している教職員が持つ情報を通じて卒業生の状況(大学進学、社会での活躍、就労支援の利用など)を把握しています。
2.滋賀県野洲市 「保育人材バンク運営事業・保育人材確保対策事業について」、「病児保育事業について」
選定理由
保育士等の人材不足は当市でも課題の一つであり、野洲市の「保育人材バンク」による直接的なマッチング支援や独自の就労支援金・宿舎借り上げ支援といった先進的な取組を学ぶことが目的です。行政が主体となって、潜在保育士の掘り起こしから定着までをどう一貫して支えているか、その具体的な手法と効果を参考とするため。
視察先の概要
人口:50,581人 (2026年4月1日現在)
世帯:22,373世帯(2026年4月1日現在)
面積:80.15平方キロメートル
議員定数:18人
2026年度一般会計(当初):278.6億円
保育人材バンク運営事業・保育人材確保対策事業
目的とコンセプト
野洲市は「三方よし人材バンク」を2016年7月から開設しています。これは近江商人の「売り手、買い手、世間の三者が満足する」という精神に倣い、保育士(求職者)、保育施設(求人者)、そして待機児童を含む子どもと保護者の三者が満足する状態を目指すものです。目的は、保育・教育の担い手増加、待機児童解消、求職者への就労機会提供です。
主な取組
- 人材バンク運営: 登録者にハローワークと同等の行政サービスを提供し、保育施設の求人情報とマッチングを行います。登録期間は3年間で、現在の登録者数は113名。マッチング率は令和7年度で約3割弱です。
- 臨時相談会・就職フェア: 年2回程度開催し、人材バンクへの登録を呼びかけ、学生や求職者へ情報提供と個別相談を実施しています。
- 大学への周知・PR: 滋賀県内外の大学・短大を訪問し、職員募集や就職傾向の調査を行います。令和7年度は5校を訪問しました。就職情報サイトとの連携も効果が高いとされています。
- 園見学ツアー・お仕事体験: 学生や潜在保育士などを対象に、公立・私立の園を見学し、保育の現場を知る機会を提供しています。
- 高校生職業体験: 県内の高校生を対象に2日間の保育体験を実施し、保育士を目指すきっかけを提供しています。参加者の中には、実際に保育士養成系の大学へ進学した高校生もいます。
補助金事業
- 保育士等保育料補助金: 潜在保育士の新規就労・育休復帰時、養育する子どもの保育料の一部(上限5.4万円。年、最長2年)を補助する野洲市独自の事業です。
- 保育士宿舎借上げ支援事業: 民間保育施設が保育士の宿舎を借り上げる費用の一部(国2分の1、市4分の1補助、月額上限6万円、最長5年)を補助します。
- 保育士等奨学金返還支援事業: 奨学金を借りて修学した方が保育施設に就業した場合、奨学金返還費用の2分の1(年額上限12万円、最長3年)を補助します。
- 新規採用保育士等就職定着給付金: 民間保育所で新規採用された保育士が1年間継続勤務した場合に、合計10万円を給付する令和7年度新設の制度です。
課題と今後の方向性
- 現場の声: パートタイム雇用が多く、フルタイム雇用の増加が望まれています。また、パート職員への研修や情報共有の時間が取りづらいという課題があります。
- フルタイムよりパートでの採用が多く、時間帯によっては人員が集中し、保育環境の安定性に影響が出ています。
- 今後の方針: これまでの取り組みを継続しつつ、園見学ツアーや職業体験など、保育現場を体験できる機会を拡充し、保育士を目指す若年層へのPRを強化します。インターネット広告なども活用し、より多くの人へ野洲市の保育や補助制度を周知していく方針です。
質疑応答(抜粋)
- 質問:登録している求職者の数と希望する勤務条件について教えてください。
- 回答:現在、人材バンクの登録者数は113名です。求人情報は人材バンク登録者にお知らせしており、その情報を見た求職者が希望する勤務条件と合致していれば応募されています。提供する求人情報は、フルタイム勤務の保育士や幼稚園教諭のほか、多くのパートタイム勤務の保育士、幼稚園教諭の募集も随時行っています。
- 質問:多くの求職者に登録してもらうための主な取り組みは何ですか。
- 回答:求人広告については従来のハローワークに加え、昨今のウェブの求人プラットフォームの増加に対応し、多様なプラットフォームに掲載しています。また、臨時相談会の開催や就職フェアへの出展、チラシの配布などを通じて、人材バンクの登録と周知を図っています。
- 質問:事業を担当している職員の職種について教えてください。
- 回答:幼児教育学童係内に、人材担当の正規職員の主査が1名、そして「保育所等支援コーディネーター」という職名のパートタイム会計年度任用職員が1名、計2名で事業を担当しています。
- 質問:導入しているシステムがあれば、初期費用やランニングコスト、活用した財源について教えてください。
- 回答:本市では、人材バンクをExcelで管理しておりシステム導入はしていません。そのためシステムにかかる費用は発生していません。
病児保育事業
事業の種類と利用対象
- 体調不良児対応型: 保育中の体調不良児に対し、一時的な保健的対応を行います。公立園4園、私立園2園で実施。
- 病児対応型: 病気回復に至らないが急変のない児童を専用スペースで保育します。小児科医院に併設された施設で実施。
- 病後児対応型: 病気回復期で集団保育が困難な児童を専用スペースで保育します。小児科医院に併設された施設で実施。
- 利用対象: 生後6ヶ月から小学6年生まで。市内在住または保護者が市内在勤の児童。
- 利用定員: 最大8名。
- 利用時間: 月~金、8:30~17:30(延長~19:00)。
- 利用手続き: 発病後、かかりつけ医または併設クリニックで受診し、仮予約。インターネットでの仮予約も可能。利用前に併設クリニックで診察が必要です。
利用状況と今後の課題
- 断った件数: 令和5年度19.2パーセント、令和6年度16.6パーセント、令和7年度13.2パーセントと減少傾向にあり、利用ニーズに対して定員は足りている状況です。
- 課題: 運営に必要な国・県の交付金・補助金が不足しており、事業の広域化(県内他自治体への拡大)を検討していますが、広域化に伴うルール整備が必要です。
保育事業全般(事前質問への回答)
園の状況と待機児童
- 園数・定員: 公立認定こども園4園(500名)、私立認定こども園1園(60名)、私立保育園7園(560名)、小規模保育園4園(76名)、公立幼稚園8園(595名)。
- 待機児童の推移: 令和2年度52人から減少し、令和8年度は5人まで減少。
- 待機児童の原因: 保育士不足(特にフルタイム)、施設のスペース不足ではなく、希望する特定の園(自宅や通勤経路に近い園)に集中することが主な原因。
- 待機児童解消の取り組み: 公立保育園の民間委託による定員増加が大きな要因。
公立保育園の整備と民営化
- 整備経過: 2006年度から幼保一元化を進め、2011年度からは施設老朽化・耐震対策として移転新築や大規模改修を実施。幼稚園と保育所を統合し、現在は幼保連携型認定こども園へ移行しています。
- 今後の整備予定: 中期計画で幼稚園の認定こども園への移行を検討中。野洲幼稚園は老朽化と待機児童対策として、現地建て替えが困難なため移転整備(民間移管も視野に)。
- 民営化事例: 野洲第三保育園は老朽化に伴い移転整備し、2026年4月1日に民間移管されました。
保育士確保と労働環境
- 保育士不足: フルタイム保育士の確保が課題。パートタイムは多いものの、長時間勤務が可能な人材が不足しています。
- 労働環境: 現場は女性が多く、出産による短時間勤務などで他の職員の負担が増加し、離職につながるケースがあるため、働きやすい環境整備が重要。
- 正規職員の採用: 須坂市同様、応募者数が減少し、倍率は低い傾向にあります。地元志向が強い。
- 地域限定保育士制度: 野洲市からの受験者数は不明ですが、制度活用により人材確保が期待されています。
当日の質疑応答(抜粋)
- 質問:実施している幼児保育事業(病児保育)の公立・私立園と定員について教えてください。
- 回答:本市で幼児保育事業を実施している公立園は、こども園4園(あいき、シノハラ、さくら、こども)です。私立園は和田保育園と市民福祉保育園の2園です。各園には看護師が1名配置されており、看護師1名につき2名程度の定員となっています。
- 質問:利用登録から利用決定までの手続きについて教えてください。
- 回答:ご利用の際は、まずご利用のお子様をかかりつけ医、もしくは幼児保育室併設のこどもクリニックで受診いただき予約手続きを行います。原則として利用日前日の仮予約が必要ですが、夜間や休日、利用当日の朝に予約を希望される方は、インターネットから仮予約が可能です(前日20時から当日朝8時まで)。利用の可否については返信メールにてご確認いただけます。
- 質問:事業を担当している職員の職種について教えてください。
- 回答:幼児教育学童係内に、人材担当の正規職員の主査が1名、そして「保育所等支援コーディネーター」という職名のパートタイム会計年度任用職員が1名、計2名で事業を担当しています。
- 質問:利用対象者の範囲(小学生や市外児童の受け入れなど)と利用料金について教えてください。
- 回答:利用対象者は生後6か月から小学校6年生までで、小学生の受け入れも行っています。市外在住の方でも、市内在住の方の候補者として受け入れを行っています。利用料金は以下のとおりです。
市内在住・生活保護世帯:無料
市内在住・非課税世帯:1回あたり500円
市内在住・非課税以外の世帯:1回あたり1,000円
市外在住(市内在勤者):1回あたり2,000円
延長料金は、いずれの世帯も15分あたり300円です。
- 質問:利用ニーズに対する定員の状況について教えてください。
- 回答:幼児保育事業の予約数に対して、お断りした率は以下の通りです。
令和5年度:19.2パーセント、令和6年度:16.6パーセント、令和7年度13.2パーセント
この数字だけを見ると定員が不足しているように感じられるかもしれませんが、インターネット予約(当日朝予約も可能)による予約数の増加や、本市における幼児保育の利用経験率が県内平均(11パーセント)を大きく上回る40パーセントであるといった地域特性も影響しています。そのため、一概に定員が足りていないのではなく、限られた人員の中で多数の方にご利用いただけるよう尽力している状況です。
須坂市への提言
滋賀県は全国的にみても待機児童が多い県で野洲市においても待機児童が発生し、保育士が足りていない状況であります。
野洲市独自の「保育士等保育料補助金」のような、市独自のインセンティブ導入などは今後の保育士不足に対応する施策として参考になりました。
次世代の若者が保育士という職業に興味を持ってもらうため、高校生の職業体験や、地元大学・短大との連携を強化し、将来的な保育人材の育成に繋がるよう取り組みについて須坂市も考えていかないといけないと感じました。
保育士が安心して長く働けるよう、職場環境改善に向けた取り組みを推進するためどういった保育士体制がよいか考えていかないといけないと感じました。
病児保育事業について体調不良児対応型など、よりきめ細やかなサービス提供などが参考になりました。須坂市の課題として市街地に病児・病後児保育事業を実施している園がないため、今後、私立園で実施していただける園があるかどうか状況を引き続き確認します。
野洲市において公立保育園の民間委託や統廃合が進んでいます。須坂市においても、既存の施設の状況や財政状況、学園構想の進捗などをみながら、公立における幼保一元化、施設整備における多様な選択肢(改築、移転、民間移管など)を検討する必要があります。
3.滋賀県草津市「草津市の生成AI導入・運用について」
選定理由
当市では、生成AIの導入について今年度中の本格運用を目指し、「生成AIガイドライン」の策定を進めているところです。
また、議会活動においても生成AIが業務等の効率化の観点から注目を浴びており、導入を始めた議会も少なからずあります。そんな中、本市議会でも個人的に使い始めた議員も出始め、導入を先行して行う貴市に導入経緯、運用実態、活用状況並びに課題等をご教示いただき、当市にとってより良いAIを探す手助けになり、さらには有用な活用方法を学ぶことができればとの思いから視察先とした。
視察先の概要
人口:141,490人 (2026年4月1日現在)
世帯:66,134世帯(2026年4月1日現在)
面積:68.72平方キロメートル
議員定数:24人
2026年度一般会計(当初):695.2億円
生成AI導入・運用
草津市は、株式会社トラストバンクが提供する「LoGo AIアシスタント」を「LoGoチャット」の有料オプションとして導入・運用しています。
導入状況
- 初回契約は2024年2月、利用開始は2024年4月。
- 利用対象は正規・会計年度職員合わせて1,400名。
- 導入当初の利用職員は約50名(約4パーセント)でしたが、2026年3月には約400名(約30パーセント)に増加。
- 利用件数も導入当初の月約600件から、現在は月約5,800件(職員1人当たり月約15件)と大幅に増加しています。
主な利用業務
- 文章構成や丁寧な言い回しの提案
- アイデア出し
- ExcelやPowerPointの操作方法の確認
- 専門知識や法令関連の調査
- 心理・生活相談関連、雑談など
運用方針
- 生成AIはあくまで補助的なツールであり、作成された内容は必ず職員の責任のもとで利用することが大前提です。
- とっかかりとしての活用を推奨し、ネット検索のような専門知識の調査には推奨していません。
- 費用: 月額143,000円(税込)を支出しています。
当日の質疑応答(抜粋)
- 質問:ツールの共同調達はどのような目的で行われ、どのようなメリットがありますか。
- 回答:共同調達は、主に以下の目的とメリットがあります。
スケールメリットによるコスト抑制、単独調達よりも低コストでサービスを導入できる。
サービス品質の向上: プロポーザル方式で業者からの提案を受け、より機能が豊富で使いやすいツール(例:文字数制限の少ないRAG機能、質問テンプレート、利用状況ダッシュボードなど)を選定できます。
情報交換・研修機会の増加: 共同調達している他の自治体と連携し、共同研修会や情報交換を通じて、より幅広い業務活用を進めることができます。
- 質問:現在、AIツールはどのように活用され業務効率化にどのような効果が出ていますか。
- 回答:議事録作成システムの文字起こし・要約:音声を聞き取って文字起こしを行うだけでなく100字以内で要約するなど手作業の時間を大幅に削減し業務を効率化しています。
通知文書の要約: 国や県からの通知など、大量の文書の要約に活用され、情報把握の効率化に貢献しています。
- 質問:AIツールの導入は、職員の削減につながるのでしょうか。
- 回答:AI導入の主な目的は、単純な人員削減ではなく、DX推進と業務効率化: 組織全体のデジタル変革を進め、業務を効率化することを目指しています。
住民サービスの向上: 効率化によって生まれた時間で、住民サービスの向上や地域の課題解決に取り組むことを重視しています。現状では、AIが生成した情報に対する二重チェックが必要なため、直接的な人員削減に結びつけることは難しいと考えています。
- 質問:生成AIが作成した情報について、責任は誰が負うのでしょうか。
- 回答:生成AIはあくまで「補助的なツール」という位置づけです。AIが生成した内容を最終的に発言したり、書面にしたりする職員や議員自身が責任を負うことが前提となります。AIの生成物をそのまま使用するのではなく人間が最終的な判断と責任を持つことが必須です。
- 質問:AIツールの職員利用状況と、今後の利用促進に向けた課題は何ですか。
- 回答:利用状況: 全職員1,400人のうち約400人(約3割)が利用しています。
利用が進まない理由: 「使い方がわからない」「どう質問したらいいかわからない」「業務の性質上、AIが必要ない」などが挙げられます。
今後の課題: 今後は、利用方法や活用方法が分からない職員へのサポートを強化し、より多くの職員が業務でAIツールを円滑に活用できるよう利用促進を図っていく方針です。
質疑応答から見えたこと
活用促進と課題
- 今回の視察の質問への回答作成にAIを直接使うことは、草津市独自の状況説明が必要なため、活用しなかった。
- AIの使い方は技術発展により会話形式が有効になっています。
- 導入当初は基本的な作業での利用が中心でしたが、今後は独自のデータを学習させる「ナレッジ機能」などの拡張機能も検討しています。
- 未利用職員には「使い方がわからない」という課題があるため、今後の支援が必要と認識しています。
今後の展開と戦略
- 滋賀県内8自治体による「おうみ自治体クラウド協議会」を通じて、2026年7月からは共同調達した新たな生成AIツール・サービスへの移行を予定しています。
- 共同調達によりコストを抑えつつ、より高度な機能(ファイルサイズ制限なし、使いやすさ向上、ダッシュボード機能など)や共同研修会による情報交換・機能活用促進を図ります。
- AI導入の目的は、業務効率化と住民サービス向上であり、人員削減が直接の目的ではないと明確にしています。AIによって生まれた時間を、新たなサービスの創出や既存サービスの質の向上に充てたいと考えています。
業務効率化の具体例
- 会議録作成システムに生成AI機能が搭載され、音声の文字起こしや要約が自動化 されたことで、大幅な効率化が図られています。
- 国や県からの通知文の要約なども効率的に行えるようになりました。
AI活用の倫理と責任
- AIはあくまで補助的な位置付けであり、生成された内容をそのまま使うのではな く、発信する側の人間(職員や議員)が最終的な責任を持つべきであるという認識を共有しています。
- 市議会での活用: 議員が一般質問にAIを活用しているケースもあるようですが、市側では具体的な利用方法は把握していません。市側としては、草津市独自の答弁書作成に生成AIをそのまま使うことは難しいと考えています。
須坂市への提言等
当市では、2021年デジタルファースト宣言し、DX元年となりましたが、ここにきて生成AIの急激な対応で、さらなるDXへの取組を充実強化することが求められます。どのようなAIが適しているのかを見極め、組織として推進すること、職員のスキルアップのための研修やガイドライン、事例集を充実させ普及していくことが最短のようだ。
4.石川県小松市「能登半島地震の対応について」、「自主防災組織について」
選定理由
令和6年1月1日の能登半島地震における実際の対応、機能発揮の状況、また平時からの組織体制、訓練、行政との連携が災害時にどのように生かされたか、課題と改善点を把握することで、本市における地域防災の向上及び実効性のある自主防災体制の構築についてご教示いただきたい。また、実際に小松市防災センターで「地震を知る(3Dシアター)」映像を観ることで、安全な避難方法を身体で覚え、実際の災害時におけるパニック防止と被害最小化(防災行動力)を高めるため。
その後の自主防災組織をどのような組織にしたかを参考にするため。
視察先の概要
人口:160,674人 (2026年4月1日現在)
世帯:72,991世帯(2026年4月1日現在)
面積:371.05平方キロメートル
議員定数:22人
2026年度一般会計(当初):576.8億円
視察の概要
地震被害状況
- 小松市の被害状況は、人的被害は死者1名(災害関連死)、重症1名、軽症1名、住宅被害は全壊1棟、半壊80棟、一部損壊11,529棟、その他道路の陥没、及び土砂崩れによる道路崩落及び上下水道施設の損傷は多数でした。能登半島北部地域の被害と比べればその比では無いが、被害の大きかった地域からの、怪我人及び避難者への対応が大変でした。
- 小松市には小松飛行場や自衛隊基地もあるため、能登地域の孤立集落の被害者や避難者200名の方が、消防防災ヘリや、自衛隊のヘリで運ばれて来て受け入れた。また、広域避難者はホテル、旅館、賃貸型応急住宅や親戚知人宅を含めると、583世帯、1,109名ほどを受け入れた。
能登半島地震を踏まえた取組
- 指定避難所全53箇所にデジタルキーボックスを設置。
- 防災士や地域の代表者などと合同で避難所運営訓練を実施。
- 地域版避難所運営マニュアルの作成。
- 市総合訓練に地域主体の避難所運営訓練を取り入れる。
- 地域防災計画の見直し及び備蓄計画の作成。
誰もが暮らし続けられる生涯安心のこまつ
- 地域防災力の強化
地域防災計画作成などをきっかけに災害リスクなどを知り、地域のコミュニケーションを強化し、自助・共助を意識した地域防災力のアップを図る。
- 地域防災リーダーの育成及び連携
地域の防災力の向上や維持を図るためには、防災士のなどの育成が必要であり、自主防災組織や町内会、消防団との連携を図る事により更なる防災力の向上につなげる。
- 最大規模の地震被害を想定した地域防止計画の改訂
本市の基礎となる地域防災計画を改定し、避難者数に応じた避難所の再配置、避難所生活の改善、個人・流通・公的備蓄の充実により防災体制の強化を図る。
- 届出避難所制度の開始
令和8年度は、孤立集落を対象に、指定避難所にたどり着けない場合を想定し、一時的に避難する場所を「届出避難所」とし備蓄品など支援する。
自主防災組織の活動
平時の活動
- 防災知識の普及
- 地域災害危険箇所の把握
- 防災訓練の実施
- 防災資機材の備蓄と整理・点検
災害発生時
- 災害情報の収集、住民への迅速な伝達
- 避難場所の運営協力
- 初期消火・避難誘導
- 避難住民の救出・救護
自主防災組織の取り組み
- 防災リーダーの育成
自主防災組織の継続的な防災活動を行うには、防災リーダーの活躍が重要
- 防災士の育成
現在 1,222名(市内全域で)
全町内に1名以上の養成を目標
女性の比率を3割以上(現在346名、28.3パーセント)
外国人防災士の養成(現在22名)
町内の防災士として養成する場合は、資格取得に係る経費は県市が負担
- 市民救護員の育成(市独自)
広域な災害が発生した場合、多数のけが人が同時に発生する可能性が想定され、多くの負傷者を効果的に救護する為には、組織的な活動、適切な応急手当てが必要です。
目標年100名の養成・女性(404名:R7.3.31)・外国人(15名)
防災資機材の貸出制度
防災訓練を実施する団体に対し、市が保有する防災資機材を貸し出すことにより、自主防災訓練等の充実を図る事を目的とする。
- 模擬消火栓
- 救助工具セット
- 訓練人形
- AED
- 土嚢製作機
- スモークマシーン
- 煙体験ハウス
- 水消火器
自主防災組織への支援(自主防災訓練を実施した場合)
1,000世帯未満の組織 限度額20,000円(2分の1)
1,000世帯以上の組織 限度額40,000円(2分の1)
その他の器材購入に補助金(AED・簡易ベッド・ポンプ・簡易トイレ・消火器等)
当日の質疑応答(抜粋)
- 質問:道路の陥没やマンホールの破損状況はどうなっていますか。
- 回答:マンホールの破損は確認されていませんが、道路の陥没は所々で発生している状況です。
- 質問:防災士はどのような資格で、自治体ではどのように活用されていますか。
- 回答:防災士は民間の資格です。自治体としては、この民間資格を持つ方をどのように把握し、効果的に防災活動に活用できるかについて議論されています。現状、具体的な活用方法は明確に示されていませんが、把握に努めている段階です。
- 質問:防災士の資格保有者の状況と、実際の活動における課題は何ですか。
- 回答:122人の方が防災士の資格を保有していることは確認されています。しかし、資格を持っていることと実際に防災士として活動してくれるかどうかは別問題であり、活動への参加意欲や実態の把握が課題とされています。
- 質問:民間資格である防災士の活用において、どのような特性や難しさがありますか。
- 回答:防災士は国家資格のような厳格な登録制度があるわけではないため、資格保有者の全体像を正確に把握し、その活動を組織的に促すことには難しさがあることが指摘されています。
須坂市への提言等
小松市市民防災センター(小松市消防本部内)で講習会をして頂いた後、防災体験を同施設で体験させて頂いた。5~60名程が入れる小さな映画館のような階段状の施設で、3Dメガネを掛けて、災害体験を3D映像で体験でき、音もすごく、椅子も振動するリアルな体験をさせて頂いた。30年前の建築だそうだが、素晴らしい施設だ。費用も相当掛かっている。
2年前の能登半島地震の直接の被害は、それ程ではなかったようだが、能登地方の被災者救護や支援は大変ご苦労いただいたようだ。須坂市も比較的地震に強い地盤であるので、直接的被害は小さいと予想されるが、近隣の市町村での被災者救護や支援は学ぶ所が多いと感じた。須坂市は防災士の人数すら把握していないようだが、小松市は資格取得を奨励し資格取得に係る経費の補助もしている。自主防災組織への支援もしっかりしていて補助も手厚くしている。お金が無いからとは言っていられない人命優先の問題だ。須坂市は見習うべきところがいっぱいだ。
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更新日:2026年09月15日