平成31年度視察報告書 総務文教委員会

更新日:2024年03月26日

ページID: 1379

視察日程:令和元年5月15日(水曜日)~17日(金曜日)
視察員:荒井敏委員長、古家敏男副委員長、塩崎貞夫、宮坂成一、石合敬、霜田剛、佐藤壽三郎
視察地:熊本県宇土市、鹿児島県薩摩川内市、東京都品川区京陽小学校

1.熊本県宇土市【防災対策について】

選定理由

熊本県宇土市では、平成28年4月14日に前震(震度5強)が、翌翌日未明には本震(震度6強)が発災した。
市役所本庁舎が崩壊したほか、市内各所で甚大な被害が発生した。更にその2カ月後には豪雨災害により、地震で緩んだ土地の崖崩れなどで、人および家屋に大きな被害が生じた。
防災・減災の観点から、初めて聞く前震、本震による大きな災害に対し、行政はどのように対処したかについて、職員の検証記録を伺い現地を確認、し須坂市でも参考とすべく視察先とした。

視察地の状況

宇土市の状況および熊本地震の対応について

1. 宇土市の概要について
  • 震災前の人口 約38,000人 震災後約37,500人 転出により500人減少
  • 熊本地震により庁舎が被害を受け立入禁止となった。
  • 市庁舎が被害を受けた県内の他市町村は、分散や移転で対応しているが、宇土市は庁舎が立入禁であったため、電話、パソコン、備品、事務機器、文書も持ちだせず、ゼロから行政機能をつくり上げていったような対応であった。
2. 宇土市の地震被害状況、対応状況について

宇土市の中心部付近の震度が大きく、被害が大きかった。

ア 前震(平成28年年4月14日 午後9時26分発生)
  • 宇土市は震度5強…地域防災計画に基づきスムーズに災害本部を設置(午後10時)、午前0時ころ市内16か所で避難所開設。(1避難所につき職員3名体制)
  • 翌朝には、仕事へ行ったり、自宅へ帰ったりなどで避難者は24名となった。
  • 市庁舎は国土交通省の職員に確認してもらい、同規模の地震が来ても倒壊の心配は無いとの判断であったため、破損ガラスの片付け等のみで、機器・書類の搬出などは行わなかった。
イ 本震(平成28年年4月16日)
  • 市本庁舎倒壊の恐れがあり、立入禁止・使用不可となる
  • 津波注意報が出て海外沿いの住民が車で避難するため、片側1車線の国道が大渋滞となり関係車両の通行に支障がでた。
  • 市民からの電話が災害対策本部に殺到し対応に手間取る。
  • 避難所の現場職員が、個人個人でその場で判断できるだけの知識と訓練が必要であった。
ウ 発生直後の対応
  • 市役所裏の駐車場にテントを張り、災害対策本部を設置。軽度の被害であった市役所別館、福祉センターから持ち出せる備品のみで対応。使用できる電話回線は1回線のみ。
  • 電源も別館から延長コードで対応。翌日、4月17日には総務省の移動電源車が到着。
  • 支援物資もすぐ届いたが、市役所が使用できず受け入れが限られた。
  • 避難所が15か所あり、1か所につき3名を2交代で配置したため宇土市職員240名のうち90人が避難所運営に対応。残りの150名で被害状況調査の対応となり人手が足りず、消防団の応援で対応。
  • 避難所は学校の体育館だけでは足りず、グラウンドも開放。夜間の暗さと、続く余震に不安の声が多く、学校とグラウンドの照明を24時間つけ放しとした。
  • 保健センターは福祉避難所であったが余り周知ができておらず、一般の避難者がたくさん来てしまい福祉避難所としての機能を果たせなかった。
  • トイレが不衛生であった。(反省点)避難所からトイレ掃除用のゴム手袋が無いとの苦情が多かった。
  • 水洗トイレに慣れており、簡易水洗の流し方を知らない。また、貯めてある水が終わったら補水の必要がある事を知らないなど。
  • ポータブルトイレも避難所に配付したが、個室が作れず使用に抵抗があり、女性の利用がほとんどなく、現在も在庫として余っている。
エ 避難所、避難者の状況
  • 避難所運営は、当初は宇土市の職員3名で対応していたが、他市からの応援があり、宇土市職員2名+他市からの応援職員2名の4名体制で運営した。
  • 6月下旬からは運営を民間委託に移行。
  • 避難所の畳は、全国の畳店が参加する実行委員会から無償で提供いただいた。
  • 避難所によってはパーテーションで仕切られるとお互いの顔が見えなくなり、不安との声があり、全避難所で一斉に設置とはならなかった。
  • 避難所での食糧、物資の配付はボランティアが行うことが望ましい。職員だと、こっちはいやだとか好きなことを言って、配付に支障がでる。ボランティアだと、他の地域から来ており、避難住民と会話も生まれ、お互いに親近感も出る。
  • 物資の受入は昼間のみ…昼間はボランティアもおり、仕分け、荷卸しもスムーズに行えたが、夜間は職員だけになり人手不足となった。寝ずに作業を行ったということもあった。
  • 業務継続計画(BCT)、避難所運営マニアルを、震災後経験を活かした内容に改訂した。

質疑応答

  • 質問:消防本部は単独か。施設は大丈夫だったのか。
  • 回答:消防は広域化しており、2市1町(宇土市、宇城市、美里町)で構成している。宇土市内に本部施設があるが、元々建物も古く建替事業を進めていたところに被害を受け、現在新しい施設の建設場所が決まり、用地取得が終わった段階。
  • 質問:警察、自衛隊、消防との普段からの連携は
  • 回答:警察とは年1回、消防とは年1回の協議会の他にもかなり交流がある。自衛隊とは募集依頼で意見交換している程度。
  • 質問:指揮命令系統は計画どおりに統率できたか。また、業務の押し付け合いみたいなものはなかったか。
  • 回答:トップダウンが大事という事は市長も感じており、市長、副市長、総務部長中心に対応できたと感じている。体育館に市役所機能を移転しワンフロアーで業務を行ったため、逆に縦割りというものは無くなってしまった。時期的に忙しい部署(罹災証明など)を他の課の職員が自然と応援に行っていた。通常業務ができない課は忙しい課の応援に割り振った。
  • 質問:被災者の入浴について
  • 回答:市の施設を無料開放した。
  • 質問:市民の安否確認、道路橋梁等の被災状況、公共施設の使用可否の確認は?
  • 回答:2年くらい前から各行政区の役員の協力をいただき安否確認訓練を行っていた。前震では、各行政区から確認後の連絡はいただいた。本震の際は災害対策本部の電話が1本しか使えず報告は受けていないが、要支援者名簿等を作成してあったので、各行政区でその名簿を元に回っていたという話は聞いている。
  • 質問:先ほどの新しい団地の土砂崩落個所は元々の危険個所と認識していた場所か。
  • 回答:元々高台で遊園地があった所であったが、空洞などがあり、今回の地震で土砂くずれとなったようだ。危険個所とはなってはいなかった。
  • 質問:海岸沿いもあるようだが、ここは地盤が緩いとか液状化するなど、住民に情報提供はされていたのか。
  • 回答:地震発生時の揺れやすさマップというものを作成し、全戸に配付はしてあった。
  • 質問:市外の職員含め、職員の参集状況は。
  • 回答:前震のときは被害も少なく、自主的に職員参集できた。本震のときは余震が続いており、市内の職員はすぐに集まったが、市外に居住している職員は道路の渋滞などがあり、すぐには出勤できなかった。市外の職員の参集は半分くらいであったと思う。翌朝にはほぼ全員集まった。平成26年から一定の期間の中で事前に通知をしないでの非常参集訓練を行っていた。その際は8割くらい集まっている。

須坂市への提言等

大規模の自然災害は必ず起きることを前提に、防災・減災を考えておくべきである。
災害対策の拠点には非常電源・用水確保等を、避難所には、3日間は持ちこたえるだけの水・非常食等の備蓄が必要。また、複式的なインフラ整備や重なる大規模な災害に対処できる警戒・被害調査機能の充実など。
平時にこそ市民一丸となり、害防御体制を確立することが重要と痛感した。

2.鹿児島県薩摩川内市【原発防災対策について】

選定理由

原子力発電所を持たない須坂市がなぜ?との思いもあろうが、日本海における柏崎刈羽原子力発電所との位置関係を考えると、須坂市においても有事の対策について研究が必要である。
鹿児島県薩摩川内市を先進地として参考にすべく視察した。

視察地の状況

一般防災について

  • 市の中心を川内川(九州で2番目の長さ)という一級河川が流れており、昔から水害対策で悩まされてきた。堤防の改築など国交省に取り組んできてもらった。
  • 昭和46年、47年と大きな被害があり堤防決壊はしなかったが、内水被害があり、市内各所にポンプを設置した。
  • 平成28年に九州北部豪雨災害があり、この時も薩摩川内市内で水害にあっている。市街地で家屋の浸水等の被害は無かった。

原子力防災について

ア 避難計画の概要
  • 原子力災害対策措置法に基づき計画を策定。平成23年度の東日本大震災を受けて法律の内容も変わり、市の計画も改訂を行った。
  • 予防的防護措置を準備する区域(PAZ)、緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)という考え方が新たに加わった。
    • 予防的防護措置を準備する区域(PAZ):原発で放射性物質が放出される恐れがある場合は、予防的に避難していただく地域。原子力発電所から半径5キロメートル以内の地域。62自治会、約4,500人が対象。
    • 緊急時防護措置を準備する区域(UPZ):市内ほぼ全域。471自治会、約87,000人が対象。基本的には屋内退避。放射性物質が放出された場合、放射線量を見て、退避を行う地域
  • 避難の手段…自家用車が原則(東日本大震災の前はバスとしてあったが、自家用車に変更)
    自家用車での避難が困難な方(一人暮らしで車を運転しない高齢者、障害者など)はバスによる避難
  • 避難地区の設定…従来は市内という考えであったが、市外の30キロメートルを超える場所を事前に決めている。
  • 避難指示の伝達
    1. デジタル波による防災行政無線(本土と甑島間は光回線を整備し、甑島の操作卓を操作し放送)
    2. 個別受信機(各戸に設置)による放送
イ 避難計画等について
  • 受入施設として、10キロメートル圏内の2つの医療機関、14の社会福祉施設と協定締結。
  • PAZ圏内、UPZ圏内の医療機関等でも避難計画の作成を完了している。
  • 市内の全ての学校、保育園、幼稚園で防災マニュアルの作成完了。
    原則、事故発生時は保護者への引き渡しを基本としている。
  • 要援護者等屋内退避施設確保事業…緊急事態発生時、即時退避等が困難で一定期間その場に留まらなければならない要援護者が避難する施設を整備。
    平成24~29年度までで約25億円。
    • 非常用発電装置、放射性物質除去フィルター等空調設備など整備
    • 市内に民間施設を含め、11か所整備
    • 市役所に整備した防災センターにも100人収容可能
  • 広域避難計画に関する企業説明会の開催、避難先までの視察研修
  • 平成24年度から避難先までの経路の確認、避難先施設の確認を実施
    • 原子力防災DVDの作成(学校、地区コミュニティなどへ貸出)
    • 避難経路図の作成・全戸配付
    • 経済産業省からの派遣職員受け入れ
    • 要支援者宅への訪問・説明
    • バス会社との協定締結など
  • 安定ヨウ素剤の配布:配布者数 2,480人、配布率 59.7%、受取辞退者 257人
ウ 原子力災害時における市役所移転計画及び業務継続計画
  • 市役所本庁舎…原発から直線で約10キロメートル弱
  • 避難対象区域となった場合、薩摩川内市祁答院支所(原発から約29キロメートル)へ機能を移転

事前質問事項に対する回答

  • 質問:施設(原発)の安全性検証、市民の考え
  • 回答:市独自で原発についてアンケート調査を実施したことは無い。地元紙(南日本新聞)のアンケート調査では、再稼働開始前は、59%が再稼働反対、再稼働開始後は51%、本年の調査では52%、再稼働後は横ばいという状況。将来的には原発は止めるべきと考えている市民が多いのではと推測される。
  • 質問:地元市の判断は、多数決(住民投票など)で判断されるのか。
  • 回答:川内原発⋯平成28年8月11日に1号機再稼働、平成27年10月15日に2号機再稼働、平成26年10月に原子力規制委員会の新判断基準に適合したと認められ、県議会から市議会の陳情審査結果を踏まえ、国の見解に理解を示すという県の判断で再稼働。住民から議会に推進と反対の2つの陳情が提出され、推進(再稼働賛成)の陳情が特別委員会、本会議で採択された。市長は市民の意見は市議会に反映されているとのスタンス。住民投票というようなことは行っていない。
  • 質問:川内原発、九州電力、鹿児島県との連絡体制について
  • 回答:九州電力と川内原子力発電所の原子力安全協定を締結しており、この協定に基づき、保守、運営状況等について、市の原子力安全対策室、防災安全課を窓口として定期的に報告をいただいている。この協定に基づき、非常時の緊急連絡網なども作成。
    先日も鹿児島で震度3の地震があったが、課長の携帯に発電所の状況などがメール配信されるようになっている。

質疑応答

  • 質問:自家用車での避難原則との事だが。信号等は大丈夫との判断か。
  • 回答:8ページの問題点にもあるが、避難所までの住民の誘導に係る警察の対応とあるが、関係機関に協力、誘導いただき避難する計画としている。
  • 質問:消防の方からも出動はするのか。
  • 回答:消防局の方は要配慮者の搬送業務を想定している。消防団については、避難されていない方がいないかの確認作業、地域内から避難してもらう際の誘導業務を考えている。その時に放射性物質の放出が始まっているか否かが重要で、放射性物質が放出された後では、放射線量が重要なので、そういった業務には制約が出てくるということも考えている。
  • 質問:防護服などは消防団にも用意されているのか。人員輸送というような人たちの防護服というのは、どの位の金額か。
  • 回答:消防団などの業務に従事する人の分も考えて備蓄を行っている。福島の事故の時の作業員の服装を思い出してもらえればいいが、タイベックスという簡易なもの。体の体表面に放射性物質が付着しないような対策ということでの防護服との考え。マスクの着用など。消防局では、発電所構内でけがをされた方の救急搬送という場合も考慮し、もっと厳重なものも準備している。鉛の入った防護服というような、放射線計をつけて入るような場所に職員を出すこと自体考えていない。発電所の中の作業などは、事業者が行うこと。けが人等はそういう引き渡しができる所まで連れて来ていただくことになる。
  • 質問:薩摩川内市内に住んでいない、旅行等で来た人への対策は
  • 回答:旅行者は、通常は移動手段を持って薩摩川内市へ来られている。まずは、情報を早く正確に伝達するということ。市域から出ていただくことが基本の対策となる。
  • 質問:安定ヨウ素剤の受け取りが6割くらいにとどまっている理由は
  • 回答:直接理由をお聞きしていないので、推察ですが、5キロメートル圏内というのは、川内原発を誘致した時からいらっしゃる方々や長年原子力発電所がある中で生活をしてきた方々。原子力発電所に対する不安感は無い訳ではないが、ヨウ素剤を服用するまでとの考えは持っていらっしゃらないのでは。

須坂市への提言等

いくつかの質問をする中で感じたことは、どんなに十分な防災計画を策定しても不安視すべきことは出てくるということ。
災害時の移動手段が自家用車であるから、交通情報、信号等、正常な状態で想定し計画を立てているのか、或いは、全てが麻痺した状態を想定して考えるのか。また、バスの手配はどの位の時間で行えるのか、何台確保(予定)できるのか等々、事前のシミュレーションでは計り知れないことが多いと感じた。
また、安定ヨウ素剤の配付率が60%にとどまっていると聞いた。 これは薩摩川内市民の多くが発電所に関係しているため、災害の想定を嫌っている、或いは思考停止していることと思われる。
薩摩川内市は原発の所有市であるがゆえ、当然、多額の交付金・補助金が国より交付される。発電所を運営する九州電力によるインフラ等への補助金も多額であるとお聞きした。
しかし、財政面の手厚さ以上に安全面での充実を市民に納得いくように説明し、実施している。現在稼働しているすべての原子力発電所で十二分な安全性を保っていると思うが、この薩摩川内原発ではテロ対策施設の建設だけは少し遅れ現在工事中であった。
原子力発電所を持たない須坂市において、必要とすること、すぐにでも実行できることは、備蓄、配付、災害時にいち早く市民へ情報を伝達すること。特に、屋内避難で良いのか、より遠くへ避難すべきか等の細かなわかりやすい避難マニュアルに見直しが必要ではないだろうか。

薩摩川内市防災センターの写真

防災センター(入口は二重扉、レントゲン室のように鉛製の扉)

3.東京都品川区京陽小学校【プログラミング教育について】

選定理由

このたびの学習指導要領改訂において、小・中・高等学校を通じてプログラミング教育を充実することとし、2020 年度から小学校においてもプログラミング教育を導入すると記されている。
総務文教委員会はプログラミング学習を実際に導入している現場(学校)での状況、児童の取り組みの様子、先生方の指導方法、課題などを探るため、先進的に取り組みを行ってきた東京都品川区の京陽小学校の視察研修を行なった。

視察先の状況

6学年のプログラミングの総合学習の時間を授業参観

京陽小学校での取り組みについて、資料に沿って説明

平成26年度からプログラミングを実施。今日授業を見ていただく子どもたちは、6年間やっている。
平成25年度のPTA役員の方がこういうことを仕事とされていたので、PTAでプログラミング教室を開催した。それを見ていた前任の校長が、授業に取り入れることを検討。NHKでやっているEプログラミングの番組に出たり、番組の監修をしたりしている青山学院の阿部教授をご紹介いただき、子どもたちにこういうものの基礎を身に着けてもらいたいという思いが強い方であった。
また、NPO法人も協力を申し出ていただいて、平成26年度から学校で決める職員研修の中にプログラミングを活用した授業展開というようなことで取り入れて学習を始めた。 プログラミング学習を通して、論理的な思考力、想像力を高め、進んで伝え合う児童を育てようというテーマのもとに研修を進め、教科の中でプログラミングを適切に取り入れる。 阿部先生には、年間に10~15回位来校いただき指導いただいた。
スクラッチをインストールしたシングルボードコンピュータをNPOから無料提供してもらい、児童数分もらって実施した。導入に特別お金はかかっていない。阿部先生の願いで、むき出しのものを使用した。
国語や算数が苦手な子でも、プログラミングで、ある種の創造性を引き出せる活動と言える。一方課題で、文科省は、教科の中で使うと言っているが、教科の中で使うのはけっこう難しい。例えば、音楽も無理にプログラミングで作曲しなくても、実際に楽器を触って音を出したり、歌ったりした方がいいと感じている。
平成28年度から課題解決を友だちと協力して学び合うことを目的としている。

質疑応答

  • 質問:文科省では全国でこれから導入ということだが、品川区は独自にすでに各学校で行ってきているということか。
  • 回答:教育委員会としてプログラミングを独自にということは無い。東京都の推進校の指定を受けて学校が行ったり、区で、学校が希望した際に各学校でいろいろな取り組みを行っていますが、その一つとして予算を付けているという状況。
  • 質問:京陽小学校はほとんどお金がかからなかったということですが、全国でプログラミング教育を進めていくのに、お金はあまりかからないということか。
  • 回答:タブレット型のパソコンで児童授業やっていたが、スクラッチというソフトは無償でダウンロードすることができる。パソコンのハードの環境があれば、セキュリティの問題はあるがで、可能ではないかと思う。京陽小学校はこのような専門家との出会いがあったので、教員も研修できたが、各学校で環境が整ったからどうぞと言っても難しい面もある。
  • 質問:専門業者が各学校へ売り込んだり、共同でソフト開発したりというようなことを聞いていますが、そういう業者の助けが無いと無理ということか。
  • 回答:プログラミングを上手くできる子を育てたい訳ではない。思考力を培うことが大切で、東京でもプログラミング教育の塾とか出てきて、親を含めどうしてもそういう方向に行ってしまう傾向がある。
    業者も、子どもにとって何が必要か、学校が求めているものは何かを良く理解して連携してもらえればいいが、教育委員会、学校はその辺を注意して進める必要はある。
    文部科学省の学習指導要領で位置づけられているのは、教科で関連づけているものが5年生の算数と6年生の理科しかない。必ず教科書にそこは含まれてくるので、教科書採択をやるときに加味しながら考えていくことが大切。お金をかけないように工夫していくことも重要。
  • 質問:保護者に新たに金銭的な負担が出てくることは無いのか。
  • 回答:品川区では、今のところ私費会計で落とすということは考えていない。あくまでも学校がこのような学習をするために、こういう教材が必要ですという部分であり、教育委員会で一律にどうとはできない。

担当教諭への質疑

  • 質問:日常使う程度で指導は可能か。
  • 回答:初めてプログラミングやると言われた時、エクセルとかワードは得意な方ではあったが、プログラミング自体はやったことが無かったのでかなり抵抗はあった。
  • 質問:先生たちの間で指導してみての感想は。
  • 回答:2極化しているという印象。とりあえず自分でやってみて、こうしたら、こうなるのかと発見しながら進めることが苦にならない先生はいい。好き嫌い、得意不得意は出る。
  • 質問:大人でも今のようなことで理解度に差が出る。子どもは理解に差は出ないのか。
  • 回答:他の教科は、割合全教科できる子はできるが、できない子は全教科苦手という傾向。だが勉強は全然ダメだけど、プログラミングになると急に生き生きする子もいる。好きな子は家でもパソコンさえあればできるので、やっていたりする。
  • 質問:実際に6年間子どもたちプログラミングをやって、思考力とか想像力とかそのようなものは身に着いたと思うか。
  • 回答:作品をお見せしたいくらいです。黒板消しで黒板を消していくと文字が出てくるというような動画を作ったり、掃除用具のロッカーに人が入るシーンを撮影して、別の子が来てドアを開けると誰もいない。どこ行ったのだろうと探していると、全く違う所から出てくるというような、不思議な動画を作成したりしていた。
    いろいろなアイディアをグループで出して、そこに至るまでの間思考錯誤して作成している過程が大切。圧倒的にアナログが占める授業の中で、この部分がデジタルということも意味があると思う。
  • 質問:働き方改革と言っている中で、先生にとってプログラミングに対してかなり時間的な負担は増えるということは無いか。
  • 回答:プログラミングをもう何年もやっているので、子どもたちがある程度できる状態になっているので、今日もほとんど指示しないで各班で進めている。今日やったものはプログラミングでも初歩的なものだったので、6年目のあの子たちにとっては、簡単だったと思う。最初の導入時が一番大変かと思う。教室中で手があがって、でも先生もよくわからない。そういう時期が一番大変だった。

須坂市への提言等

現場で子ども達を実際指導した先生によると、「最初は抵抗がありましたが、自分で様々な試行錯誤を繰り返してきました。けれどそれは、他の教科を指導する際にも行う試行錯誤であります。学校に知見がないならば、専門家の協力も得ながら、知見と経験を積み重ね、ノウハウを蓄積し、発展させていく。これまで他の教科でも行ってきたことを、プログラミングでもやっていくだけです。」と話されました。
また、実際の導入にあたって気をつけることは、プログラミングのソフトの「スクラッチ」は無料でダウンロードできるが、指導教員の育成が大切であり、かなりの時間と費用がかかる。
最近、様々な事業者のプレゼンテーションと売り込みが始まっているが、事業者と連携するには、学校単位でなく教育委員会の方針にあった事業者を選択していくのがよいと考える。
プログラミング学習の到達目標については、まず、学習指導要領に位置づけられた教科をやっていけばよいのでは。3人位のグループで子ども達が協力し教えあって授業を進めることにより社会をよくするため助け合いの心が生まれる。
須坂市においても2020年のプログラミング教育の導入に際して、非常に参考になる事例だと考える。

プログラミングの授業風景の写真

授業風景(先生の最初の説明)

この記事に関するお問い合わせ先

議会事務局
所在地:〒382-8511 長野県須坂市大字須坂1528番地の1
電話番号:026-248-9014 ファックス:026-248-3365
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