【最新号の特集】広報須坂2月号
中高生の居場所 須坂ユースセンター
自分らしくいられる場所、安心して過ごせる場所、自分を認めてもらえる場所、そんな居心地の良い「居場所」は、楽しみや幸せを感じながら暮らすために、誰にとっても欠かすことのできない大切な存在です。
2025年8月、中高生世代の居場所の一つとして、「須坂ユースセンター」が開設されました。オープンから約半年、家や学校ではない「第3の居場所」として、日常的な利用が広がりはじめています。

子ども・若者を取り巻く状況 -居場所の減少-
子ども・若者を取り巻く環境は、地域コミュニティの変化や価値観の多様化、少子化の進行などを背景に、以前と比べて大きく変わりました。地域のつながりの希薄化や、公園の利用ルールの厳格化などにより、子ども・若者が安心安全に落ち着いて時間を過ごせる居場所が減りつつあります。
これに伴い、子どもたちの活動の場が家と学校に偏り、社会の中で子ども・若者同士が遊び、育ち、学び合う機会が減少しています。このような現状を大きな問題と捉え、近年重要視されつつあるのがユースセンターです。
2023年12月には、こども家庭庁から「こどもの居場所づくりに関する指針」が示され、子ども・若者の居場所を意図的に生み出そうとする取り組みが、国の施策としても積極的に進められています。
ユースセンターとは
若者(ユース)のための、家でも学校でもない場所を指して「ユースセンター」と呼ばれています。
ユースセンターには、若者に寄り添って話を聞いたり、若者がやりたいことの実現に向けて伴走するスタッフ「ユースワーカー」が常駐し、若者の成長や自立を支援します。
ユースワーカーの伊藤さん(右)と雑談
須坂ユースセンターではこんなことができます
「放課後、もう少し友だちと一緒にいたい」
「家に帰っても一人で寂しい、つまらない」
「誰かに話を聞いてほしい」
「仲間を見つけたい」
そんな中高生の声に応える居場所の一つが「須坂ユースセンター」です。
安心して自由に過ごす
須坂ユースセンターは、市内立町の「地域交流拠点Aile(エール)」の中にあります。利用者は、学校や部活動が終わった後に立ち寄り、友だちと話したり、一緒にゲームで遊んだり、時々勉強をしたり、自由に時間を過ごしています。帰宅の電車やバスの時間、塾の開始までの待ち時間に利用している高校生もおり、それぞれの時間までセンターでのひと時を楽しみます。
センターの隣には、高校生の自主学習スペース「coto2(コトコト)」があり、勉強の息抜きや食事の際に訪れる高校生もいます。
みんなでおいしいおやつを囲むことも
家・学校以外の人と関わる
ユースワーカーとの関わり
ユースセンターに常駐するユースワーカーは、親や先生とは違った立場の支援者として中高生に寄り添い、相談にのったり、話を聞いたりします。須坂ユースセンターの利用者とユースワーカーの間では、何気ない日常の話を中心としつつも、進路相談や友人関係の相談など、いろいろな話が交わされています。
地域の大人との関わり
須坂ユースセンターでは、さまざまな経験を持つ地域の大人を招いて中高生が一緒に話をする「地域交流ワークショップ」を定期的に開催しています。
2025年12月に開催された第5回地域交流ワークショップでは、須坂高校の卒業生で、地球一周の船旅「ピースボート」に参加した大学生の酒井希葉さんが、海外での現地の人々との交流や学びを通して感じたことを高校生と共有。参加した高校1年の女子生徒は、「留学を考えていて、海外の話に興味があった。話を聞いて、もっと海外のいろいろなところに行ってみたくなった。こういう機会は普段あまりないので、参加できて良かった」と話していました。
第5回地域交流ワークショップ
やりたいことを実現する
現在、須坂ユースセンターでは月1回程度、「Aile's kitchen(エールズキッチン)」を開催しています。すざか地域食堂(子ども食堂)を開催する跡部奈美さんらを講師に、集まったみんなで料理やお菓子を作って食べます。また、毎週木曜日午後6時からは「マージャンのつどい」の時間。地域の大人も参加し、和気あいあいとテーブルを囲みます。その他、単発のイベントも多くあり、1月には市内の体育館でスポーツ大会を開催。思いっきり体を動かして楽しみました。
こうした企画の多くは、センターの利用者の声が元になっています。「何かやりたい」という気持ちを応援し、一緒に実現させています。
地域の大人と一緒にマージャン
ユースワーカーに聞きました
ユースセンターに欠かせない存在、「ユースワーカー」。
ユースワーカーの3人に、実際の様子や中高生への思いを聞きました。
Q 須坂ユースセンターの開設者でユースワーカーでもある井上さん、センター開設のきっかけは?
井上陽介さん 兵庫県出身、市内在住。元プロスノーボーダー。
井上 2024年7月まで須坂市地域おこし協力隊員として、空き家を活用した高校生の居場所づくりなどを行ってきました。高校生と一緒に作った高校生の自主学習スペースcoto2(コトコト)は想像以上に需要があって、連日勉強を頑張る高校生でいっぱいです。うれしい反面で感じたのは、「目的なく居られる場所」の必要性。高校生といっても勉強を頑張りたい子ばかりではないので、誰でも自由に立ち寄れて、かつ、そこに行けば誰かと関われる、自分を認められる、やりたいことが実現できるような場所が必要だと思うようになりました。
Q センターの利用者と、どんな話をしていますか?
新荘直明さん 茨城県出身、小布施町在住。趣味はギター。
新荘 8月から秋にかけては、高校2年生で進路調査があったので、志望校や3年生での科目選択などの相談が多かったですね。必要な教科の調べ方や勉強の仕方なども含めてアドバイスしました。学校での人間関係の相談をしてくれた子もいて、その後その問題からうまく距離を取れるようになったみたいです。私が何をできたかは分かりませんが、思考の整理の後押しくらいはできたのかなと、印象に残っています。でも、ほとんどの時間は、たわいもない話をしています(笑)
伊藤 本当に、何気ない取り留めのない話ですね。ちょっとした学校への文句、遊びに行って楽しかったこと、あとは「恋話」も多いです(笑)進路関係では、高校3年生から志望理由書の書き方の相談がありました。
「本当に言いたいのはそういうことなの?」という話から始めて、話を深掘りする中で、一番書きたいことを一緒に見つけていきました。
井上 出願校をどうするかで悩んでいた子が、ニコニコの笑顔で出願校を決めたことを話しに来てくれたことも。うれしかったですね。
ユースワーカーが対応した相談内容(2025年8月~12月)
Q 中高生と関わる際の思い、意識していることは?
伊藤葵さん 須坂市出身、大学2年生。趣味はピアノ。
伊藤 自分の経験なども踏まえて、苦しい思いが軽くなるような関わり方ができればいいなと思います。人間関係や勉強・進路に悩んでいるときに、居場所があって話せる相手がいることで、少しでも楽に、気負わずに、高校生活を過ごすことができたらいいなと思っています。
新荘 話を聞くときは、評価や判断をしないことを心がけています。こちらがどう思うかは、基本的に求められていないと思っているので、話をそのまま受け止める感じ。本当に何かアドバイスが欲しいときは相談してくれるので、そのときには、少し働きかけをすることもあります。
井上 大事にしているのは、本人の意志を尊重すること。あとは、いろいろな価値観と出会い、多くの情報を知った上で、本人が後悔しない選択をしてほしいなと思います。
Q 今後に向けて、願いなどを教えてください
新荘 居心地の良い場所であることは大前提として、今後はさらに、中高生のやりたいことを後押しする場所になったらいいなと思います。その中で町に出たり人と関わったり、いろいろな経験をしてほしいですね。
伊藤 「絶対ここに来てほしい」という気持ちは無いですが、居場所の選択肢はたくさんあった方が良いと思います。まずは存在を知ってもらって、中高生が集える場所の選択肢になったらうれしいです。
利用者の声
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いつ来ても誰かがいて、みんな温かく迎えてくれるので、私にとっての一つの居場所です。他校の人や大人との出会いなど、新しい事がいっぱいあって、いい発見になります。勉強のアドバイスをもらったり、進路などの悩み相談もきいてもらえるので、とてもいい場所です。
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帰りの電車までの待ち時間によく来ています。ユースワーカーが話を振ってくれたり、場を盛り上げてくれたりして、雰囲気がいいのでまた来たくなります。
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隣の自主学習スペースcoto2(コトコト)でよく勉強していて、ここはお湯や電子レンジが使えるので、勉強の休憩やご飯を食べるときによく来ています。妹がいて、家では親に「兄がだらだらしていたら妹も真似するでしょ」と言われるのですが、ここでは勉強をしたり、だらだらしたり、自分のペースでいられて、家にいる以上にリラックスできます。こういう場所があって最高です。
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静かすぎると逆に集中できないので、ちょうどいい雑音があるユースセンターに勉強に来ています。ここでゲームが始まったりしてにぎやかになれば、家に帰って勉強する、というように、状況に応じて都合よく使っています。
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coto2(コトコト)は学習スペースなので使いたいと思わないけれど、ユースセンターはしゃべったり、遊んだり、のんびりしたりできるので、その雰囲気が好きで来ています。新しく他校の友だちもできて、とても楽しいです。
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自分にとっては「とりあえず居られる場所」で、学校とは違う緩い空気感が心地良いです。学校の先生に相談するのは、先生がそもそも生徒を評価する立場なのでハードルが高いけれど、ユースワーカーはいとこの兄ちゃんみたいな感じで、「とりあえず相談してみるか」と思えます。
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家だと一人だけれど、ここに来れば知り合いがたくさんいて楽しく過ごせます。いろいろな経験をしているユースワーカーと話をする中で、これまで知らなかったことを知れる機会もすごく増えて、そういうところも面白いし、いいなと思います。
施設紹介
須坂ユースセンターは、地域交流拠点Aile(エール)の中に、中高生を対象に、時間を区切って設けられています。時間内はユースワーカーが必ず常駐し、利用者と一緒に時間を過ごします。
本格キッチンで料理もOK!
子どもから大人までが世代を超えて交流できる拠点として開設されたAileの設備を共用しており、キッチンや電子レンジを備えるほか、大きな掘りごたつ、開放的なウッドデッキなどがあります。
中高生は、会員登録をすることでセンターを利用でき、利用料は無料です。
開設者は元須坂市地域おこし協力隊員の井上陽介さん。井上さんが代表を務める「一般社団法人信州古民家再生プロジェクト」が企画・管理運営を行っています。

所在地 大字須坂1457-9(地域交流拠点Aile内)
対象者 中学生・高校生
開館日時 月~金曜日:午後4時~9時、日曜日:午後1時~6時
(注意)事情により開館日時が変更になる場合があります。事前にインスタグラムでご確認ください。
更新日:2026年01月30日