【市民の声】『障がいを持つ方が支える職人集団』 特定非営利活動法人まいぺーす 理事長 堀川勝巳さん(高梨町)
事業を通して思い描く未来とは
特定非営利法人まいぺーすは、障がい等で企業で働くことが困難な方に対し、仕事や生活をサポートする事業やグループホームや相談支援事業などを行っています。理事長の堀川勝巳さんにお話しを聞きしました。
理事長の堀川さんは、障がいを持つ方が、仕事を通して社会で自立するため、革製品を中心にこだわった商品を開発、製造、販売することで工賃をアップするために尽力しています。
堀川さんが障がい者福祉をはじめたきっかけ
「友人に障がいを持つ方がいて、何か役に立つことはできないかと思っていました。そんな思いがあり福祉大学に進み、現在に至っています。」「当時は、高度経済成長期のため障がい者福祉の世界に入る人は、ほとんどおらず珍しかったです。」
求められている障がい者福祉支援のスキル
「日本の障がい者福祉の歴史は、工賃をアップするというよりは、障がいを持つ方を保護するという歴史から来ています。」「ちょっと作業をして、1日楽しく過ごせば良いよね、という感じです。よく他の施設に行くと、企業の下請けの仕事が多いのが現状です。」「現在、職員に求められているスキルは2つあると言われています。1つ目は、障がい者をサポートする福祉的な役割、2つ目は、商売としてお金を稼ぐというスキルです」
丁寧に、良いものを手作りで
「流れ作業は一切やりません。基本的に商品は1人で時間をかけ丁寧に仕上げ、できない部分は職員が手伝います。」「障がいのある方が自分が作ったものだと目に見えるようにするためです。目の前で、第三者に評価され、喜んで買ってくださると、すごい自信を持ち、より良いものを作ろうと努力します。自分そのものを認めてもらえたという感覚が自信に繋がるのではないかと感じます。」「ものづくりの中で、障がいがありながらも人間的にも成長しているところを見ると私は、最高に楽しいです。」
私たちは、小さな事業所だけど職員と障がいを持つ方が、共に協力し製品を作り上げるので、職人集団だと呼んでいます。ちょっとかっこ付けているんですがね(笑)」
今後の事業について
「障がいを持つ方が通うグループホームで『得体の知れない人達だ』と地域の人達に噂されたことがあります。しかし、雪が降った時、障がいを持つ方は、体力があったので、自分のところだけではなく周りの家も雪かきを行いました。『いつも元気よく挨拶を行い、雪が降ったとき、とても助かった』と地域の方がおっしゃっていただき偏見が少しずつなくなっていきました。」「そのように少しずつでも良いので、地域に理解が広がっていけば良いと思います。将来的には、小規模でも良いので、地域に点のように施設を構え、点と点を面に変え、この地域を障がいを持つ方の住みやすい地域に変えたいと思っています。」「他者に対し理解がある地域、つまり障がいを持つ方が生活しやすい地域は、高齢者や子供も、みんなが生活しやすい地域に違いないです。そのようなことが、結果的には地域づくりに繋がると思っています。」
堀川さんは最後に「消費者には、障がいを持つ方が作ったという事を売りにはしません。製品としてちゃんと売れ、興味を持ってもらい、結果として障がいを持つ方が関わっているという事を後で知ってもらう事が大事だと思っています。買っていただいた方が、少しでも社会貢献できたと思っていただけたらありがたいですね。」とお話ししていただきました。見せていただいた革製品はデザインがシンプルでかっこよく、大切に長く使いこんだら味が出そうな魅力的な商品ばかりで、思わず、ペンケースとコインケースを買ってしまいました。
堀川さんが、障がいを持つ方と共に歩む喜びや、商品のことを楽しそうに語る姿は、私までそんな未来になったら楽しいだろうな、と思い、多様性を認める社会が少しでも須坂に広がれば良いなと感じました。
堀川さん、インタビューご協力いただきありがとうございました。
(2015年9月)
【注意】インタビューの内容は取材当時のものです。
特定非営利活動法人まいぺーす
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更新日:2025年02月27日