【移住者の声】『須坂市の自然と共生する暮らし』 若林真由美さん、若林敦さん(井上町)
須坂市の生活で得た豊かさとは
若林真由美さん、敦さんは、3年前に須坂市井上地区に移り住み、長年の願いであった田舎暮らしを始めました。
ご夫妻は400坪もある農地を購入し、様々な野菜や果物を育て、四季それぞれの暮らしを楽しんでおられるとのことです。その様子を紹介したいと考え、インタビューをお願いしました。
お伺いした日は、あいにくの雪でしたが、庭の梅の木の枯れ枝に積もった雪と、井上山の杉林がまるで水墨画のような雰囲気となっていました。晴れた日には、ご夫妻が「信濃富士」と呼んでいる北信五岳(ほくしんごがく)と、白馬岳までが見えるそうです。短大の教員でもあるご主人も加わり、須坂での暮らしと、畑作業のことをお話いただきました。
須坂移住のきっかけ
真由美さんは名古屋市ご出身ですが、結婚を機に長野市へと引っ越しました。その後、田舎暮らしにあこがれを抱くようになり、古民家風の住宅と畑作業ができる物件をさがし、須坂市に移り住みました。宮崎駿が描いたトトロの世界のような雰囲気をもちながらも、インターまで5分という交通の便の良さと、観光地へのアクセスの良さにも大きな魅力的を感じたそうです。
夢の古民家
古民家風のご自宅は、古材をたくさん使った落ち着いた雰囲気でが、ご夫妻の生活スタイルにあわせてリフォームしたそうです。北側にあった寒いキッチンを南側の日当りの良い和室へと移し、板張りに替え、カウンターもつけて洒落た喫茶店のような雰囲気に改装し、応接間としても活用しているそうです。
大人気のピザ釜
お庭には何とピザ窯があります。ご主人の趣味が高じて作ったとのことですが、大人気だそうで、親戚、友人、ご近所、短大の卒業生の方々などと、年に数回はピザパーティーを開いて交流を深めているそうです。 参加者それぞれがが持ち寄った自家製野菜などを、窯で焼いて皆で食べるのも大いに盛り上がるイベントの一つとのことです。
「一方的におもてなしをするよりも、みんなで食べ物を持ち寄り、みんなで調理し食べるのが秘訣です。おもてなしだけだと疲れてしまいますが、主催する側も参加する側もお互いに協力し合うことにより、皆が楽しめるパーティとすることができます」という真由美さんのお話しには思わず納得させられてしまいました。
自分で作ったものを食べるという豊かさ
以前、真由美さんは、食料品の流通に関わる仕事をしていました。日々の仕事の中で、合理性、効率性、利便性を極限まで追求し、大量生産、大量消費、大量廃棄することに対して違和感をおぼえたといいます。そんなことから、食料経済を学びに岐阜の大学院に2年間ほど通い、地域内で食料が循環する大切さに気づいたそうです。
「例えば、ひとたび大きな災害等が起これば、経済活動や流通は止まり日々の食料も手に入らなくなってしまいます。しかし、地域内で食料が循環していれば、そうした不安は軽減できます。更に自分で農産物を作れば、安定して安全で美味しいものを食べることができます。毎日の生活の中で、本当に豊かな暮らしとはこういうことなのではないかと実感しています」
リデュース、リユース、リサイクルできる農ある暮らし
若林さんは自分で作ったもを自分で食べるという暮らしをしていると徐々に資源をReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)できることに気づいたといいます。リデュースは廃棄を減らすこと。リユースは繰り返し使うこと。リサイクルは再資源化することです。
資源を効率的に利用する農ある暮らしについてお聞きしました。「最初に、資源を効率的に利用できることに気づいたのは畑作業からでした。」「畑に堆肥をまき、農産物を育て収穫し、食べればゴミが出ます。しかし、それを捨てるのではなく堆肥化することで資源がリサイクルしていることに気づきました。」「リユースという点では、手間をかけ大切に育てた野菜を捨てるのをもったいないということで保存食作りを始めました。」「お漬物、果物のコンポート、ショウガシロップ、ゆず酵素など様々な保存食を作っています。自ら作ると様々な発見があっておもしろいです。」「また、リデュースという観点でいうと、必要なものは畑にあるので要らないものを買わなくなりました」とおっしゃいました。
持続可能なグリーンツーリズム
須坂には、「須坂グリーンツーリズム」という活動団体があります。若林さんは、2016年からこの須坂グリーンツーリズムの事務局をされており、グリーンツーリズムについてお聞きしました。
「これまでのグリーンツーリズムはボランティアで運営されている場合が多かったようです。しかし、これでは運営側が疲れ果ててしまうんですね。活動を持続可能にするには対価が必要だと思うのです。」「ある程度のお金が循環することで、持続可能なグリーンツーリズム活動ができるように知恵を絞っていきたいですね」と答えていただきました。
若林さんは実践家。興味をもったことに何でも挑戦するタイプだからこそ現在の暮らしができたと感じました。そんな若林さんの暮らしに対する姿勢にとても刺激を受けました。
インタビューご協力いただきありがとうございました。
(2016年2月 地域おこし協力隊 和田)
【注意】インタビュー内の情報は取材当時のものです。
更新日:2025年03月03日