【移住者の声】『地域と調和を目指すイタリア料理店』 il vico(イルビーコ)オーナー 土屋博嗣さん(本上町)
オーナーが気づいた須坂市のこと
蔵造りの建物が残る大笹街道は、かつて物資を輸送する道路として、多くの人々が行き交っていました。また、街道をつなぐ小路の一つである大門通りは、生活必需品を買いに来た人でいつも賑わい、地域の暮らしに溶け込んでいました。現在は、その通りも、住宅街となっていますが、当時の面影は、今でも残っており、通りを歩けば、風情を感じることが出来ます。
イタリア料理のお店「il vico」(イル ヴィーコ)の土屋オーナーは、料理学校で学んだ後、東京、軽井沢のレストランでシェフを経験し、2012年5月に大門通りにお店をオープンしました。細い小路に、隠れ家のように佇んでおり、店内の雰囲気は、オーナーの土屋さんご夫婦の飾らない人柄を、そのまま表しています。
オープンの経緯や須坂の暮らしについて土屋さんにお伺いしました。
地域の方に支持される落ち着いたお店
「いつか自分のお店を持ちたいと思っており、東京や軽井沢のお店で仕事をしていました。軽井沢では繁忙期になるととても忙しく、調理も機械的で、仕事が終わると、達成感というより疲労感で一杯でした。」「充実の中にも何か疑問のようなものを感じており、これが自分のしたいことなのかなと思ったんです。その中で、自分のお店は、地域の方に長く支持されるような落ち着きのあるお店を作っていきたいと思ったんです。」
「このお店の場所は、20年程空き家だったんですが、メイン通りから離れており、住宅街という立地で、自分の希望と合っていました。」「また、夫婦2人で切り盛りするにはちょうど良い広さだったのも決め手です。」
「食材は出来る限り地元産、信州産のものを使うようこだわっており、野菜などは両親や親戚に栽培してもらっています」
暮らしを大切にする町
「お店をやると決めた時、須坂を良く知る人たちからは、須坂での開業は難しいよとアドバイスを頂きました。」「というのも、須坂では、外食をする文化が余り無いようで、多くの家庭が、家で作って食べるそうなんです。」「須坂市内にスーパーが多いのは、そういった理由があるからだそうです。」「観光地ではなく、日常の暮らしを大切にしている文化風土が根付いているということなんだと思いました。」
「私自身、地元の方に支持されるお店づくりをしていきたいという思いがあったので、そういった須坂の文化こそ、自分の思い描いているものと似ていると感じました。ですので、開業する際に、特に心配することはありませんでした」
須坂の魅力
「須坂には、若者や家族で遊べるところが少なくてさびしい、という意見があります。私はボウリングが好きなのですが、ボウリング場も長野市に行かないと無いですし、映画館も無くなってしまいました。」「買い物も、上田や軽井沢、もうじきリニューアルされる長野駅前に行かないと、若者向けのお店は少ないと感じている方がいるようです。」「逆転の発想かもしれませんが、日常の暮らしを大切にしているから、嗜好品やアミューズメント施設も少ないんだと思います。実はそこが須坂の魅力なのかも知れないですね」
土屋さんインタビューありがとうございます。須坂の小路巡りに出掛けた際は、「il vico」さんのお店で、地元産の食材を使用したイタリアンを召し上がって須坂市を感じてみませんか。
(2015年2月 地域おこし協力隊 松田)
【注意】インタビュー内の情報は取材当時のものです。
il vico(イルビーコ)
- 【住所】長野県須坂市須坂本上町43−1
- 【営業時間】お昼 11時30分~14時00分(ラストオーダー) 、夜 18時00分~
- 【電話番号】 026-214-5148
更新日:2025年02月28日