移住者の声 須坂市地域おこし協力隊 北 直樹の『須坂キラビト』vol.14

更新日:2024年03月26日

ページID: 1749
ほほ笑む中澤明加さんの写真

世界に1つのインクアートから笑顔を届ける。1枚の絵からはじまった物語。 / 須坂市地域おこし協力隊 北 直樹の『須坂キラビト』 vol.14

地域おこし協力隊のーすがお届けする連載「須坂キラビト」は、須坂市に関わるキラリと光る情熱を持つ人をテーマに、活動のきっかけ、これまでの苦労や未来の活動についてもお話を伺います。

第14回目はアルコールインクアーティストの中澤明加(なかざわはるか)さんを取材しました!

中澤明加さん(以下 ハルさん)

高山村出身
小中高までを高山村で過ごし、須坂園芸高校卒業後に須坂へ越しその後、須坂へ在住。現在は3人の子育てとパート、アルコールインクアートの製作・販売活動と三刀流で活動中。

夢を諦めた青春時代

 はじめてお会いしたのは、私の企画したインスタグラム塾でした。今日は今までの活動やこれからのことをお話してもらいます!まず、高校は須坂園芸(現:創成)高校へ進学されてフラワーコースで学ばれたということですがその経緯を教えて下さい!

『小さい頃からお花が好きで、将来お花の業界に進みたいと思っていました。在学中に名古屋の大会に出て、上位まで行ったり力を入れて活動していたんですが、家庭の事情で継続が難しくなってお花での進学を諦めることにしました。高校卒業後は「りんごの木 須坂店」で働いて、その後は縁あって酒井商会(須坂市)で働かせて頂きました』

 夢を諦めるのは辛かったと思います。どのように乗り越えたのでしょうか?

『家庭環境と言ったものの、実は職場体験なども通して、自分のしっくり来る働き方ではないかも…っていう不安もあったので、ちょうど良かったのかなと思っています。りんごの木でもディスプレイの花飾りや店前の花壇など自由にやらせてくれて、その時の経験が生きた機会は沢山ありました。仕事にする以外でも経験が生きたところが沢山あって、それで昇華できたのかなと思っています。』

bota出店時の木製のテーブルに並べられたアルコールインクアートの作品たちの写真

 園芸高校の経験を無駄にしなかったのは、その時々に一生懸命にやってきたからだと思います!酒井商会ではどのようなことを?

『酒井社長がお客様だったご縁から、事務員として働かせて頂きました。ここでは接客の基本を学びました。どうお客様を感動させるか?お客様の顔・名前を1回で覚えて、2回目からは名前で呼ぶ、小さなサプライズで喜ばせるなどなど…今もその経験は接客で生きています。今までの経験って不思議と無駄になりませんね!』

 そんな風に前向きに考えられるのはハルさんの人柄だと思います。

『その後、出産などを機に転職して精密機械の会社で働きました。パートで働きながら現場の責任者を任されて多忙な業務と3人の育児で、いつの間にか心に限界が来ていました。ある時、朝から疲れて会社に行けなくなってしまったんです…。その頃から精神的にUP・DOWNが激しくなって自分でもコントロールできなくなってしまって、休んでも治らないのでこちらも退職することになりました。自分が仕事をやめて収入が減って、家庭が厳しくなっても夫は休んでいいよと言ってくれて。そんな時にインスタグラムで1枚の絵に出会い、一気に気持ちが回復したんです。それがインクアートとの出会いでした。』

白色の用紙に女性の後ろ姿が黒で描かれ、下の部分を水色、紫、青、赤のインクを使用し花を模してドレスのようにしたインクアート作品の写真

 そこで初めてインクアートと出会ったんですね!元々絵は好きだったんですか?

『子供のころに書くのが好きだった程度です(笑)それで私も自分がアートで勇気をもらったように、誰かに勇気を与えられればと思ってインクアートを始めてみたんです。あと、自分の精神的にも完全に安定したわけでは無かったので、夫が「家でできることからはじめようよ」とインクアートの道具なども揃えてくれて…私のことを近くで理解してくれて本当に感謝しています。』

 素晴らしい旦那さんです。参考にさせて頂きます(笑)そして、1つのアートから勇気をもらう感覚、私にはありませんでした。その後どのようにインクアートと歩んできたのでしょうか?

『そこからは“まずは楽しむ“ことを中心に、YOUTUBEとかで勉強しました。そもそも売ることなんて考えていなかったですし…。初めて3か月ほどで私も同じように作品をインスタグラムで投稿していたら、全く知らない千葉の方から「あなたの作品が好きで応援している。私はやめてしまったので道具を使ってほしい」と、道具が一式送られてきたんです。こうなるとやめられないですよね(笑)』

黒い紙で女性のシルエットが切り抜かれ、紫のインクをスカートのフリルに模した中澤明加さん初めての作品の写真

 すごい!結構インスタグラムの効果は絶大ですね!その後もbotaでのチャレンジショップ出品も転機になったとか。

 『はい、知人の後押しと紹介でbotaで出店することになりましたが、正直、こんなの売れるのかな?って気持ちもあったんですけど、私の作品がきっかけで元気になる人が居ればと思って思い切ってやってみました。今でも忘れられないのは、最初の商品が売れた時の感動です。これは本当にみんなに味わってもらいたいし、チャレンジショップが須坂には沢山あるからできることですよね。私でもできたんですから。

 確かに、まだまだ眠っている才能が沢山須坂にはあるかもしれませんね。同時期に出店していたシンシアの土屋さんからも大きな影響を受けたとか。

『土屋さん(パティスリーカフェシンシア)をずっと目の前で見ていてすごく刺激になりました。夜遅くまでケーキ作りをしたり、1人1人のお客さんに対してしっかりと対応しているところも…仕事への向き合い方の全てが勉強になりました。私もやならきゃ!と思って、作品の数やレベルも成長させてもらいました。ここで知り合えたことに感謝しかありません。』

 ジャンルは違えど、その仕事に対する向き合い方は感じるものがあったんですね。
 話はそれますが、そもそもインクアートってなんですか?

『海外で割とメジャーで、コピックインクというペンの“補充液”を使いそれを垂らして滲ませながら作るアートのことなんです。滲み方はその日の湿度とか温度、紙の状態でも変わってくるので、同じように作っても同じものにならないのが特徴です。そしてインクアートは経年変化も楽しめる商品なんです。直射日光などの影響を受けると、色合いが変わってくる。戻ることは無いし、それもどういう変化をするのか予想が出来ないのが楽しみの1つでもあります』

用紙に赤や黄色、紫、青などのインクを垂らして滲ませた様子の作品写真
垂らしたインクアートにスマートフォンの型紙を合わせている様子の写真
花や金魚をモチーフにした赤や黄色、オレンジなどのインクを使って作ったスマホケースの写真

 補充液を使うとは斬新ですね。私は恥ずかしながら知らなかったです。これはどんな層がターゲットなのでしょうか?

『私が作る商品は全年齢層に対応してます!ですが「大人の女性のご褒美」にと思って価格はギリギリの設定をしています。自分が3人の子育てをしているときに、おしゃれにお金を使うのが苦しい時期があったんです。だからこそ、そういったママさんにもオシャレなものを届けられるように値段は出来るだけギリギリで頑張っています。男性の方も奥様にプレゼントで買っていくんですよ!』

作品を見ている女性に向かい合って接客する中澤明加さんの写真

 確かにこの価格帯であれば、ちょっとしたプレゼントに良いと思います。私も妻にプレゼントしたら喜ばれましたし(笑)

『私が1枚の絵から生活を取り戻したように、私の作品を通して喜んでもらえる作品作りをしていきたいですね。私の場合は人とのつながりで、このように成長させてもらっているので、過去の経験のすべてに今は感謝しています』

 きっとその想いは作品に出ているのではないでしょうか!最後になります、これからの夢を語って頂けますか?

『辛いことや悲しいことがあったとき、気持ちが下がった人の手助けをしてあげたいし、そのきっかけになれば嬉しいと思っています。「アートであなたの生活をハッピーに」というのをキャッチコピーに掲げていて、私のアートを見て、ハルさん元気かなーと思い出してくれたり、会いたいなーと思ってもらえると嬉しいですね。もちろんお金も大事なので、もうちょっと有名になりたいですね(笑)』

 最後の締めがしっかりママな感じでハルさんらしいなと思いました。今後、須坂のいたるところにハルさんの作品が生まれてアートな街になっていくと面白いですね!この度はロングインタビューありがとうございました!

作品を販売している中澤明加の写真

のーすレコメンド

袋詰めされたカラフルなインクアートのイニシャルオブジェの写真

家のウェルカムボード的なやつにいいかも。North…とか…

のーすレポート

ハルさんは出会ってからずっと元気な印象でした。今回お話を掘り下げると、過去には精神的に辛かった時期があったりと、さまざまな経験からその明るさが来ているのだと知りました。そんな中で出会った1枚の絵に心を動かされ、そして自らがチャレンジしていく。アートの力って無限大だなと実感するインタビューになりました。
もしかしたら自分のブログや記事も誰かの心を動かしているときがあるのかな…そんな方がいたら是非教えて下さいね(笑)
アルコールインクアートは魅力的だ。
それ以上に、その作り手が人間味あふれ、辛さを乗り越えた優しい人だからこそできるこのアートに私は大きな魅力を感じるインタビューとなりました。
また妻のプレゼントよろしくお願いします(笑)

この記事を書いた人

のーす

1986年7月3日 石川県金沢市生まれ
2022年8月神奈川県川崎市より須坂市に移住し妻と二人暮らし
現在、須坂市地域おこし協力隊として活動中

  • 趣味:レザークラフト、野球、DIYなど
  • 好きな歌手:吉川晃司、氷室京介
  • 主な活動:空き家バンク、信州芋煮会

夢は須坂市の特産品で6次産業の企画・開発・営業で起業すること

野外で作業する北直樹さんの写真

この記事に関するお問い合わせ先

総務部 政策推進課
所在地:〒382-8511 長野県須坂市大字須坂1528番地の1
電話番号:026-248-9017 ファックス:026-246-0750
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