移住者の声 須坂市地域おこし協力隊 北 直樹の『須坂キラビト』vol.17

更新日:2024年03月26日

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店のカウンター内でほほ笑むエプロン姿の長田良子さんの写真

“縁”で出来た須坂の小さなお城でフルーツとスイーツを / 須坂市地域おこし協力隊 北 直樹の『須坂キラビト』 vol.17

地域おこし協力隊のーすがお届けする連載「須坂キラビト」は、須坂市に関わるキラリと光る情熱を持つ人をテーマに、活動のきっかけ、これまでの苦労や未来の活動についてもお話を伺います。

第17回目はCafé「SHIRO…」を経営する の長田良子さんを取材しました!

店のカウンター内でほほ笑むエプロン姿の長田良子さんの写真

長田良子さん

須坂市出身高校を卒業後、県内の短期大学を経て家業へ入る。その後、書店勤務や珈琲哲学須坂店のオーナーを経て現在、須坂温泉古城荘にてCafé「SHIRO…」を経営している。

須坂に個性溢れるカフェの出現

 長田さんとは、以前キラビトにも出てもらった「カネ十農園」の藤沢さんのご縁でお名前を聞いて、そこから勝手に親近感が湧いてすり寄らせてもらいました(笑)

今日はここでカフェを始めた経緯やお店のコンセプトをお聞かせいただければと思います!まずはこのお店を経営するに至った経緯を教えて下さい!

『このお店を始める前にはJAアグリスにあった「珈琲哲学」でオーナーとして働いていました。コロナショックを乗り越えましたが、その後の水道光熱費の値上がりなどで、一気に店の先行きが苦しくなり閉店を決めたんです。その時に珈琲哲学に良く来られていた、古城荘を経営される寺島会長とは他の方のご縁でお知り合いになり、その後、何度もお店に足を運んで頂き、ご縁がご縁を生んで今回のお話(古城荘での開業)を頂きました。』

 お客様とオーナーのご縁でこのようなチャンスをもらえるというのは凄いですね。そもそも珈琲哲学でオーナーになったきっかけは?

『もっと遡るとインター前の蔦屋書店で働いていて、娘が珈琲哲学でパティシエとして働いていたんです。私はカフェとは無縁の生活でした。そんな中、珈琲哲学のオーナーが高齢でお店を閉めたい。跡継ぎをしたい人がいれば譲りたい!という話を娘が聞いて「絶対チャンスだよ!」と。蔦屋も17年ぐらい勤めていて居心地も良く、大好きな方々に囲まれていたので辞めたくなかったのですが思い切って事業継承をしました。オーナーになったのは2019年の12月でした』

中央に置かれた木製の本棚にはたくさんの本が並んでおり、その前にはテーブルと椅子が置かれている店内の様子写真

 カフェ店員も経験せず、いきなりカフェオーナーになるなんて凄く思い切りましたね。娘さんの後押し以外に挑戦への背景は何かあったのですか?

『20歳で結婚しましたがシングルマザーとなり、子供を3人育てました。1つの仕事では追いつかないので、ダブルワークで生計を繋いでいました。それがやっぱり無理だったのか、8年前に脳梗塞を患って、一時期右半身が言うことを利かない状態になったんです。早期発見だったので今は後遺症は無く仕事も出来ています。そういうことを経験したり、働き詰めだった私を子供達も見ていたし、子育てもひと段落ついたので「好きなことやろう!」って気持ちになったのかなと思います。』

 脳梗塞からの復活で、しかも新しいことのチャレンジするというのが本当にエネルギッシュです。

『オーナーになって最初の1か月は接客などもうまく出来ず、お店では先輩の娘たちからも叱られ、毎日辞めたいと泣いてました(笑)そもそもカフェでも働いたことが無いし、蔦屋時代とは接客の仕方が全然違いました。娘は小さい頃からずっと夢だったパティシエとしてお店のキッチンで働き、私はホールで働き、ようやく慣れてきたころに、コロナの影響で後にお客さんが“0”を経験する状況になりました。正直かなり辛かったです。』

コロナ渦から得た学び

 コロナ渦での経営は深刻だったと思います。どのように乗り切ったのでしょうか?

『オーナーになってすぐだったので本当に頭が真っ白でした。オープンしても人が来ないし、でも給料は払わないといけないし…ここで初めて真剣に「どうやったらお客様が来るのか?」を考えるきっかけになったように思います。ちょうどそのころ私はホールをやりながらパフェを作る担当をしていたので、須坂のフルーツを使ったパフェが出来ないか?と考えていたんです。当たり前に私達地元民が食べているもの。関東では売れば特別扱いだし、この地域に足を運んだ旅行者にも是非食べて欲しかったんです。でも、そこには大きなハードルがあって…それは値段でした』

カウンター内でパフェを盛り付けるエプロン姿の長田良子さんの写真

 仕入れ値が高くなって、結局高いものを売って沢山の人の手に回らなければ意味が無いということですよね。

『そうですね。だから地元の果物を仕入れると値段が高くなってしまうので、お客様に受けないと思って卸業者を介さず“直接仕入れ”することにしたんです。コロナの期間に農家さんを訪ねて、畑を見て勉強させてもらいました。そこで果物ってこんなに作るのが大変なのかと知り、単純に「安く売る」のではなく適正価格で買い取って、農家さんの苦労を無駄にしない販売をしたいと考えました。値段に重きを置くのではなく、パフェの魅せ方や内容で特徴を出すようにしたんです。』

ブドウ、生クリーム、ビスケットがトッピングされたパフェの写真

 転んでもただでは起きない!というチャレンジ精神が生んだパフェだったんですね。この魅せ方でお店の方はどうでしたか?

『客足が増え、すこしずつ注目されるようになってきましたが、コロナ後にウクライナ危機による水道光熱費の値上がりがあって、元々家賃の負担が大きかった店舗というのもあり、経営していくには厳しい状況は変わらず、店を閉店することにしました。長年一緒にやってきた従業員に迷惑をかけることが本当に辛かったですが、みんなも理解してくれて…。オーナー時代は本当に苦労の連続でした。』

 そこで先ほどの出会いがあるんですね。ご縁って不思議なものです。

『実は今までの人生も沢山の縁があったんです。脳梗塞になった時も家にたまたま子供が居て早期発見になったり、行きつけの病院で原因がわからない時も、たまたま知り合いの看護師さんが「これは脳梗塞だ!」と言って迅速な対応をしてくれたり。このようにチャレンジする場を与えてもらったり、ダブルワークしていたコンビニで同じ店員だった方が農家だったことがパフェの仕入れに繋がったり…周りの方に恵まれてここまでやらせてもらっています。人の縁って不思議ですよね。』

苦労から見つけた1つの“お城”

 SHIROに行きつくまでが濃厚でしたね(笑)この店名の“SHIRO”にはどんな意味があるんですか?

『このシロには3つの意味があります。

  1. 新たな気持ち、真っ白からスタートするシロ
  2. シロから自分の色に、お客様と共に染めていくシロ
  3. 古城荘の城をお借りしてのシロ

です。店を畳んだあとも、須坂のフルーツでスイーツを…と考えていたので、それをこの私の“お城”で形にしていきたいと思いスタートしました』

本棚の上に置かれたCAFE SHIRO木製アルファベットオブジェの写真

 SHIROのコンセプトを教えて下さい!

『私が直接仕入れし、農園にも足を運んだこだわりのフルーツ×スイーツでお客様へ笑顔を届けたい!』

 今は1人で営業されるようになり、変わったことはありますか?

『1人で出来ることには限りがあるので、やることを絞り、動きがかなりシンプルになりました。その為、前職時代に出来なかった仕入れの拘りをより強く出せるようになりました。またお客様、1人1人にも丁寧に対応できるようになりました。席数も限られているし、お客様の顔が見えるので、笑顔で食べてるなーとか見ています(笑)1人なので苦労も勿論ありますが、それ以上に朝この場に立つと「今日もやるぞ!」という気分にさせてくれるんです』

須坂のフルーツとスイーツの懸け橋になりたい

 最後の定番コーナーですが、夢を教えて下さい!

『夢は須坂市のもっと沢山ある、売り場に困っている農家さんの力になりたい!ということ。これだけのフルーツの文化を守ってきた方々の力になりたいんです。須坂はぶどうやりんごに注目されがちだけど、梨だって栽培されています。このフルーツ王国をこれからも守っていくために微力でも力になりたいと思っています。』

 ぶどうまるごとパフェやワッサーパフェなどなかなか他では食べられない斬新なパフェを生み出しているのは、そのような須坂への想いからだったんですね。

『もう1つは、須坂でアフタヌーンティーを企画したい!と思っています。須坂の美味しいお菓子、デザートを作っている人たちと協力して、アフタヌーンティー出来たら楽しいなーと考えています。そのくらい須坂には美味しいものが沢山あるので。』

 アフタヌーンティーは面白い。この地域には無い文化ですし。まだまだ挑戦は続きそうですね!この度はロングインタビューありがとうございました!

テーブルに置かれたアイスコーヒーとガラス容器に入った花びらの写真

のーすレコメンド

「まるごとブドウのパフェ」など季節の果物のパフェを是非ご堪能ください!

Café「SHIRO…」(古城荘フロント横)

営業日 水曜日、土曜日が定休日

11時〜17時

ラストオーダー:16時30分

ぶどう、ミント、ビスケットがトッピングされたパフェの写真

のーすレポート

長田さんと初めて会ってお話したときに、なぜか凄いパワーを感じて是非インタビューさせてください!とお願いしました。

最初は「私なんて面白くないですよ~」と謙遜してましたが、掘れば掘るほど壮絶な人生のストーリーがそこにありました。

どんな逆境も力に変えて、病気も乗り越え、シングルマザーでも3人の子育てをしながら夢を実現させるその“力”に大きなショックを受けました。

自分の感性を信じて進んでいく姿、地域に恩返しがしたい、お世話になった人たちに恩返しがしたい、そういう思いが言葉の1つ1つから感じました。

私ももっと自分を信じて自分の道を突き進む勇気が欲しい!そう思いました。

そして長田さんのこの人柄と作品を多くの人に感じてほしい!!!!!!

まだ行ったことが無い方は、是非足を運んでみてください。

この記事を書いた人

のーす(北 直樹)

1986年7月3日 石川県金沢市生まれ

2022年8月神奈川県川崎市より須坂市に移住し妻と二人暮らし

現在、須坂市地域おこし協力隊として活動中

  • 趣味:レザークラフト、野球、DIYなど
  • 好きな歌手:吉川晃司、氷室京介
  • 主な活動:須坂キラビト、空き家バンク、営業代行、イベント運営企画、SNS代行、信州芋煮会
  • 夢:須坂市の特産品で6次産業の企画・開発・営業をすること、卒業後の拠点探し、カフェの経営
野外で作業をする須坂市地域おこし協力隊の北 直樹さんの写真

この記事に関するお問い合わせ先

総務部 政策推進課
所在地:〒382-8511 長野県須坂市大字須坂1528番地の1
電話番号:026-248-9017 ファックス:026-246-0750
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