
須坂の歴史に触れ、新旧の美術を鑑賞し、公園を散策。最後は県内最大級の日帰り温泉施設で旅の汗を流す充実のコースです。
明治時代から昭和時代まで製糸業で発展して須坂市。最盛期の大正時代には、全国から多くの工女たちが集まり、上町や仲町には工女たちを相手にした呉服店、菓子屋、下駄屋などが多く軒を連ねました。1日コースは、須坂の歴史に触れつつ、新旧の美術を鑑賞し、公園を散策。最後は須坂市を一望できる県内最大級の日帰り温泉施設で旅の汗を流す充実のコースです。町歩きを楽しみつつ、観光案内所で季節のイベント情報を仕入れるのもいいでしょう。

※時間は徒歩の目安です
1 須坂駅
町歩きの出発点となる長野電鉄長野線の駅。北信五岳の雄大な山並みを眺めることができるホームには、かつて新宿~箱根間を結んだ旧特急「ロマンスカー」や、黄色と赤のリンゴカラーが特徴の長野電鉄オリジナル車両「0系OS」などが走っています。また、2013年10月より、鉄道模型の開発・製造を行うトミーテックの「鉄道コレクション」シリーズから長野電鉄長野線の0系初代OSカーが販売されました。模型は駅舎で購入することができます。
2観光案内所(須坂市観光協会)
須坂駅の目の前にあるシルキービルの2階にあり、各種パンフレットや地図の無料配布のほか、目的や滞在時間などに合わせた観光コースの提案を行っています。また、須坂市の四季の魅力を知ることもできる場所。案内所のスタッフが臥竜公園の桜や五味池破風高原自然園のレンゲツツジの開花状況などを付近の住民と連絡を取り合いながら、随時確認。市内や訪れた人に向けて、最新の情報を届けています。
3須坂クラシック美術館
蔵の町並みの入り口にある美術館。建物は江戸時代より須坂藩御用達の呉服問屋として栄え、須坂銀行、山一製糸を興した牧新七(まきしんしち)によって建てられました。明治40年代に製糸家だった越寿三郎の息子・栄蔵がその建物を譲り受け、昭和8(1933)年には酒造業を営んでいた本藤家に渡りました。須坂の有力者だった3人が住まいとした館内では現在、日本画家・岡信孝氏から寄贈された民芸品2000点展示。年4回の企画展も開催しています。
4須坂市蔵のまち観光交流センター
旧角一製糸の豪壮な3階建ての繭蔵を改装した建物で、観光情報の提供や地場産品の販売、手荷物預かりサービス、レンタサイクルなどを行っています。また毎月第二日曜は市民が観光客をもてなす「蔵の朝市」を観光交流センター主催で開催。蔵の町並みにある各店が、きのこ汁のふるまいやお菓子・食事の提供、手作り雑貨の販売、マイ箸作り体験などを行い、人気を博しています。蔵の町並み散策の拠点として利用したい場所です。
5蔵の町並み(旧三善)
蔵のまち観光交流センターのすぐ目の前にある元製糸家の館。土蔵と母屋、そして母屋を囲む塀の下にはぼた餅のように楕円形に加工した自然石を緻密に積み上げたぼた餅石積みがあります。またその上には、巨大な一枚石を加工した切り石が積まれており、当時の職人の技術の高さを物語っています。そのほか、一枚一枚に家紋が入ったあぶみ瓦、ヒノキの一枚板で作られた戸袋など、元製糸家らしい豪壮な家構えを見ることができます。
6ふれあい館 まゆぐら
旧三善から国道406号線を中町交差点へと向かうと右手にふれあい館 まゆぐらが見えてきます。明治期に建てられた旧田尻製糸の繭蔵を土台から切り離し、移動させる「曳き家」と呼ばれる伝統的な工法で移転・改修したものです。無料開放されている館内では、通気性がよい繭蔵独自の構造を見ることができます。また、1階では地元ボランティアによる機織り、まゆ人形づくり体験、お茶出しのサービスなどが行われています。
7笠鉾会館ドリームホール
毎年7月21日から25日の期間に須坂市内で行われる祇園祭。21日は無病息災を願い、墨坂神社の牛頭(ごず)天王を大神輿に降す「天王おろし」、25日は再び社に帰る「天王あげ」が行われ、その際、天王を守る役割を担うのが笠鉾です。11町にひとつずつあり、それぞれ意匠を施した絢爛豪華な笠鉾は、祭事以外、この笠鉾会館ドリームホールに展示されています。吹き抜けの展示ホールで笠鉾を見ることができるほか、企画展なども開催されています。
8墨坂神社(芝宮)
かつて日本に疫病が蔓延した際、崇神天皇が「墨坂神」を祀ったところ、疫病が鎮まったと伝わる神社。江戸時代には須坂藩主堀氏からも崇敬されてきた歴史があります。広い境内にはイチョウやケヤキの巨木、神橋、生糸の町にまつわる蚕神社などが点在。また、大正時代に境内から発掘された壷は1600年以上前と遺構とされ、社宝になっています。須坂の夏の風物詩・祇園祭の際には、社の神を大神輿に降ろす「天王おろし」や再び社に戻す「天王あげ」が行われます。
9信州味噌醤油醸造元 塩屋醸造
現在のような物流システムがない時代、信州にとって塩は大変貴重なものでした。江戸時代、塩屋として創業した塩屋醸造は文政年間に、当時、天日精製のため溶けてしまうことが多かった塩を味噌・醤油に作り変えたことで新たなスタートを切りました。建物の暖簾をくぐると味噌蔵、諸味蔵、手造り蔵、醤油蔵などが立ち並び、事前予約で見学をすることもできます。また、母屋と醸造蔵の間には巨大な一枚岩「縁起石」が置かれています。
10蔵の町並み(遠藤酒造場、須坂市ふれあい館 しらふじ、旧小田切家住宅)
中町交差点付近から田中本家博物館へ向かう道に広がる大壁造りの町並み。綿幸サロンの隣には、須坂の製糸業を支えた生糸13人衆のひとり、小田切辰之助が建てた旧小田切家住宅が佇んでいます。武家屋敷風の豪壮な長屋門がある邸宅内には、住宅の敷地内を流れる裏側用水を利用した水車小屋のほか、蔵、離れ、物置、店などが立ち並んでいます。また、道沿いには須坂市ふれあい館 しらふじや遠藤酒造場などの歴史的建造物があります。
11豪商の館 田中本家博物館
須坂市の豪商、田中本家の繁栄の歴史を伝える博物館。初代・新八は江戸中期に穀物、菜種油、煙草、絹などの商売を行い、財を築きました。代々、御用達として御用金や商品を収め、3代と5代は正規の武士身分である士分として須坂藩の財政にも深く関わりました。館内では田中本家の当時の暮らしぶりが分かる生活道具を展示。四季に合わせて企画展も行っています。また、食事処では田中本家に伝わる「やまどりのお雑煮」を提供しています。
12臥竜公園・須坂市動物園
東京都日比谷公園の設計委員でもあった本多静六(ほんだせいろく)氏により設計された臥竜公園。臥竜山の名松を水面に映した竜ヶ池を中心に、アヤメ、フジ、アジサイなどが植えられています。また、公園全体で800本ものソメイヨシノが植えられており、桜の名所として知られています。園内には50種類220匹の動物がいる須坂市動物園もあり、「ナイトズー、夜のどうぶつえん探検隊」や「動物パレード」など、年間を通して特色あるイベントを多数行っています。
13須坂市版画美術館・世界の民俗人形博物館
須坂市出身の版画家・小林朝治氏の版画作品を展示する須坂市版画美術館。小林氏は、眼科医として働くかたわら、精力的に木工版画を制作しました。館内には小林氏が集めた全国の版画作品も展示されています。版画美術館の隣には、世界100数ヵ国4000体もの民俗人形を展示する世界の民俗人形博物館があります。元文化服装学院名誉学院長の小池千枝氏が集めた人形は、各国の生活習慣を反映しながら、現代ファッションにも通じる装飾や機能的なスタイルが魅力です。
14信州須坂 関谷温泉 湯っ蔵んど
北信五岳、須坂市、長野市を一望できる高台に佇む日帰り温泉施設。神経痛、筋肉痛、慢性消化器病、冷え性などに利く単純温泉を、大浴場9つ、露天風呂7つの浴槽で楽しむことができます。サウナも高温、塩、スチームなど3種類を用意。リフト付き福祉浴室も完備されており、高齢者の方も安心して楽しむことができます。また、食事処には蕎麦打ち小屋が設置されており、挽きたて、打ちたて、茹でたての3たて蕎麦を味わうことができます。
15須坂駅

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