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活動報告 / 須坂市地域おこし協力隊 古川広野「峰の原高原地域おこし協力隊を退任します」

須坂市峰の原高原地域おこし協力隊の古川です。2018年4月から峰の原高原で活動をはじめ、およそ2年が経ちました。この度、私古川は2020年4月から峰の原高原のペンションの経営などに専念し、協力隊を退任することとなりました。今回のメルマガでは私の峰の原高原における地域おこし協力隊の活動とその中で感じたことなどをお伝えさせていただきます。

●Uターン
私は、地域おこし協力隊の制度を利用し、大学卒業後、地元にUターンしました。偶然私が制度上可能な条件を満たしていたため、選択肢として考えることが出来ました。これは運が良かったです。
須坂市、峰の原高原は、ペンション村として、観光地とうたってはいるが、現実はどうなんだろうか。今でこそなんとなく分かってきましたが、当初は何も知りませんでした。それでも人口減少、高齢化などなど、今どきどこにでもあるような問題に直面しているであろうことは容易に予想できます。きっとそれは、私一人が帰ったことで解決できるものではないとは分かっていました。しかし、私は実家がペンションだったこともあり、両親がペンション経営をしている姿を見ていました。元々内部から見ていた、勝手の知った場所。そこに協力隊の制度で入りこみ、将来を考えながら地域のことも考えられるならば、利用してみよう。そんな思いから、私は須坂市峰の原高原地域おこし協力隊の制度を活用しようと決めました。
なにより、私は地元が好きでした。それだけです。

みはらし台

●峰の原高原
峰の原高原は、50年ほどの歴史がある標高1500メートルのペンション村です。「ペンション村」なんです。言い方は少し悪くなってしまいますが、お金が落ちる場所がペンションくらいしかないんです。要するに、日帰りのお客さんの場合、お金が地域に落ちにくいのです。かつて夏はテニス、冬はスキーのお客さんが日帰りの方もそこそこいたそうですが、現在はかなり少なくなってしまっているようでした。ちょうど私が峰の原高原に戻った年、今まで峰の原高原スキー場を経営していたところが撤退しました。現在に至るまで、スキー場に関しては紆余曲折あったのですがここでは省略します。とにかくかつてはメインと言えるほど多かったらしいスキーのお客さんも減ってきているなかで、地域としてどのようなことが出来るのかはいまだに課題として残っています。ペンションの数は最盛期に比べるとおよそ半分。あと10年、20年経ったときに、どうなっているのでしょうか。不安もありますが、近年は私のように協力隊を入れたり移住される方がいたりと、期待もあります。

峰の原高原

●地域おこし協力隊
地域おこし協力隊とは、実際は人を指すのではなく、制度を指す言葉です。私はその制度を利用して移住(Uターン)してきた隊員というわけです。各市町村によって、移住してきた協力隊員が何をやるのかは様々です。私の場合は、いわゆるフリーミッション型で、地域の中で観光協会を手伝いながら将来を考えつつ働く、といったような感じでした。

●活動
地域おこし協力隊を始めたとき、活動内容として考えていたものは、「情報発信」「オリジナルグッズ製作」「ペンション業務」などを考えていました。
そもそも峰の原高原観光協会はペンションオーナーたちを中心に地域の住民で役割を担っている任意団体でした。専念できる人がいない、というのが大きな問題です。ペンション業の片手間に情報発信ができるかというと、やはりどうしても厳しいらしくなかなかできていないというのが現状でした。そんな背景もあり、観光協会からは情報発信はどんどんやってほしい、と聞かされていました。私自身やったほうが良いとは思っていたこともあり、活動の一つとして情報発信業務を行ってきました。情報発信ツールとして管理しているSNSは、Facebook、Twitter、Instagramなどです。2019年に入り、YouTubeなども行ってきました。私は主にTwitterを利用しています。どのSNSも、メリットとデメリットがあるとは思いますが、より広い範囲の人に向けて情報発信を目指すならTwitterが向いていました。(あくまで私の使い方の場合に限った話ではありますが。)
★峰の原高原観光協会Twitter
https://twitter.com/minenohara
★峰の原高原観光協会instagram
https://www.instagram.com/suzaka_minenohara

SNS

「情報」の取り扱いはとても難しいです。というのも、私の世代は「インターネット上に個人情報を書いてはいけません!」「顔写真なんて絶対ダメです!」「人の顔が写っている写真を勝手にインターネットにあげると裁判になる可能性もあります!絶対だめ!」と教わってきた世代です。インターネットやSNSをめぐり、様々なトラブルに巻き込まれてきた世代、というわけです。しかし、「観光協会での情報発信」となると、たとえばイベントごとなどでは外部からも参加してくれる方がいらっしゃるわけです。記念にはい、チーズ。よくあるシーンですよね。さて、ここで撮った写真はSNSで情報発信として使用してもいいのでしょうか。名前は伏せますが、とある自治体ではこういった写真をSNS上に載せたところ、勝手に載せられるなんて聞いてない、といったようなクレームが来たという事例も少なくありません。今どきこんなこと気にしている方が正直少ないとは思いますが、前例がある以上避けられるリスクは避けるべきですよね。しかしそういったことに関して、「気にしない人が多い」ということに一番苦労しました。「大丈夫大丈夫~」という感じです。おおらかで大変ありがたいのですが、撮影とSNS掲載の可能性をお伝えしてからイベントや撮影を行うようにしました。これは峰の原高原観光協会が任意団体だからということもあります。例えばテレビや新聞など、報道関係や行政の資料などの場合はもし許可がなかったとしても問題ないそうなのですが、個人や任意団体となると話が違ってくるそうです。背景の一部とみなせるような単なる映り込み場合は問題なかったり、それでも顔が明確にわかってしまう場合は問題になることもあったり…と事例は様々です。要するに人が写っている場合は許可を得ておいた方が無難ということです。「地域おこし協力隊」として考えると須坂市の嘱託職員と見られるのですが、私の場合厳密には「峰の原高原観光協会所属」になっていたため、微妙な立場でした。なのでかなり気を付けたつもりです。それでも時には問題がどこかに隠れているかもしれない。自分から世界に向けて発信する情報の中に問題が潜んでいるとしたら、怖いですよね。簡単に情報発信とはいいますが、意外と壁だらけであったことに気付き、苦戦しました。…正直今の時代、「そんなに気にしなくても問題ないだろう」というのが現実な気もしますが。何が正しいのかはもうわかりません。

私は私個人の、須坂市や峰の原高原とは何の関係もないただの古川広野としてのアカウントでの情報発信も行っていました。
https://twitter.com/coopemine18
観光協会ではなく協力隊個人としての活動も発信するという目的がありましたが、あくまで個人的なものという扱いでした。また、これならばイベント毎の宣伝をし、もし何か問題があったとしても私個人の責任として受け止めればいいだけで済みます。個人と団体のアカウントを使い分けることはメリットが大きかったです。
余談ですが、須坂市の人はなぜかFacebookユーザーが圧倒的に多いという印象を持ちました。世代的な要因もあるのかもしれませんが、ほかの自治体と比べても多いように感じました。なぜでしょう。不思議ですね。

情報発信をしていく中で、峰の原高原の景色の魅力に気付きました。昔住んでいたころは、当たり前すぎて全く気にしなかったです。小さい頃から住んでいたので、夕陽は見えて当たりまえだし、夜外に出れば星は見える。天の川も別に普通に見られる。流れ星も普通。花はきれいに咲いているし、冬になれば樹氷が見られる。本当に、普通でした。どれもこれも日常の中で見られる景色だし、絵本にだって星空や夕陽はだいたい同じように描いてあるから、「まぁそういうものなのだろう」という感じでした。都会では星空は見にくい、といったようなことを頭では理解していても実感がありませんでした。
大学を機に峰の原高原を離れたことで、魅力に気付けるようになりました。景色が良いと気づいてからはカメラを持ち歩き、シャッターを切るようになりました。写真はやればやるほど奥が深く難しいものでしたが、撮った写真を発信していくなかで峰の原高原に興味を持ってくれる人が出てきました。百聞は一見に如かず、ですね。情報発信においても写真というのは大変有用なツールでした。少しずつ写真を撮るのにも慣れてきて、何度か写真を展示したり、フォトブックを製作したりしました。最近だとコンテンツワークス様主催の「ジモトジマンコレクション」という企画に、峰の原高原の冊子を作成し、応募したところ、「もの部門」に入賞いたしました。本当にありがたいです。
★「ジモトジマンコレクション」もの部門入賞!
https://www.contentsworks.co.jp/2020/4thresultannouncement

協力隊の活動の中でも写真を撮ってきて、その中でも気に入った写真をまとめ、冊子にしたものでした。自分がUターンしたことで見えるようになった景色を、素直に冊子にまとめたものがこういった形で選んでいただけたことがとても嬉しいです。
作成した冊子はweb上でも見ることが出来ますので、お時間のある方はぜひ見ていただけると嬉しいです。
★フォトブック「自然の中で」
https://www.memepaper.jp/MEME-7254762001281550470

フォトブック

また別の発信方法として、SNSやYoutubeなどに掲載する短い動画を活動の中で作り、発信も行っていました。市内でも「動画みたよ」などと声をかけていただけたことがあり、とても嬉しかったです。
★Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCuzY28MzLX35yp7-xlXr5kQ

●グッズ制作
須坂市内にあるレーザー加工機を利用し、峰の原高原オリジナルグッズの制作なども行いました。初めの頃は機械の使い方も全くわからず苦戦してばかりでしたが、丁寧に教えていただきながらなんとか使えるようになりました。試行錯誤を繰り返しながら峰の原高原に昔から居たマスコットキャラクターのMr.ヌーキーのキーホルダーを制作していました。色々なイベントなどで販売したり参加賞としてお渡したりする中で、知られていなかっただけで結構人気がある事を知りました。失礼ですが、意外でした…。Mr.ヌーキー、すごかったんだなぁ…。レーザー加工が利用できるのにストラップくらいしか作らないのも正直もったいないとは思うのですが、加工時間と費用などを考えると一番製作しやすいのがやはりストラップ、キーホルダーの類でした。なかなか単価を抑えられないのが悩みではありますが、製作したキーホルダーを喜んでくれたり、ぼろぼろになるまでつけていてくれたりするのを見ると、かなり嬉しいです。
今年度に入り、Tシャツやパーカーなども製作しました。やっぱりここでもヌーキーは人気なようです。

グッズ

活動の中で、峰の原高原にはファンがいる、ということをよく感じました。例えば、グッズを見てくれたり、買ってくれたりする人の中には昔から峰の原高原を知っているような、またはペンションによく泊ってくれているような方がとても多いです。様々なイベント毎などでも、峰の原やペンションさん毎のリピーターがとても多かったです。お客さんからも愛されている地域、というのは素敵なことだと思います。それは今まで峰の原高原に暮らしていた方々が、地域と人を大切にしてきたからだと思います。

●今後と将来
冒頭にも書きましたが、今後私は須坂市峰の原高原でペンション経営を行います。協力隊の活動の中でいろいろ考えはしましたが、やはり峰の原高原という場所で選べる職業は少なく、宿泊業は今の私の状況を考えると一番現実的でした。情報発信は大事ですし、地域に必要なことであるとも考えられます。しかしなかなかお金にならないのが現実でした。峰の原高原観光協会はあくまで任意団体であり、現段階では人を雇うということは考えられませんでした。そうなると、この場所で生計を立てる手段としてはやっぱりペンションなのだと思います。
この2年間、短い期間ではありましたが今までとは違う目線でペンション業という仕事に触れました。日本におけるペンションは、ヨーロッパから入ってきた「ペンション」という宿泊形態が日本独自のスタイルに変化したものです。ホテルや旅館などの宿泊業とは少し異なる、「日本でのペンション」という形式。峰の原はその中でもさらに特殊な経営をしているかもしれません。オーナーとお客さんの距離感は、ホテルとも、ゲストハウスとも異なる特有のもの。言葉では説明しきれない独特のものがあると考えられます。お客さんとオーナーが対話したりすることで生まれる距離なのだと思います。

また現在の峰の原高原の場合、夏は学生の合宿が多いです。学生にとって、夏の合宿は一大イベント。もちろん遊びできているわけではありませんが、思い出には残るものだと思います。私自身学生の頃に行った合宿などはよく覚えています。良くも悪くも「特別」なわけです。学生にとって最後の合宿の年、泣いている学生がいることもあります。そんな思い出に残るひとつの場所としてペンションを提供できることが、すごく不思議なことに感じました。学生が泣いている理由はわかりませんが、少なくとも感情になにかしらの変化があったためでしょう。その涙の理由のなかに、「ペンションの思い出」が良いものとして含まれていたら、とてもありがたく、嬉しいことだと感じました。もちろん合宿以外のお客さんにも、そんな素敵な思い出を提供できるようなペンションを作ってみたいと思うようになりました。そんなこともあって、ペンション業は強く興味の魅かれるものになり、この峰の原高原でなら頑張ってみたいと思えました。もちろんペンション経営は簡単なものではないと思います。それに、今後5年、10年と経った時にはペンションの数は減ってしまっているかもしれません。それでも峰の原高原の「ペンション村」という文化を少しでも維持できるよう、努力いたします。

この2年間、須坂市内の方をはじめとし、多くの方に大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。

スタートライン

(須坂市地域おこし協力隊 古川広野)


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