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◆須坂の歴史的産業遺産をご紹介◆
明治から昭和初期まで製糸業で栄えた須坂市。長野県宝にも指定されている旧小田切家住宅は2016年に文化施設として開館しました。小田切辰之助は須坂の製糸業の発展に大きく貢献した人物です。今回は繁盛期の製糸家の暮らしぶりがうかがえる旧小田切家住宅をご紹介します。
旧小田切家住宅は町の中心地に立地しています
春木町南の交差点に面した大きな白壁が目印です
基礎の部分の「ぼたもち石積み」も見えます
正面から全体を見渡すと施設の入口横に立派な石橋がある門構えが見えます
瓦屋根の側面に刻まれた素敵な模様も目に留まります
軒下の特徴ある造り「段蛇腹」は重厚感があります
暖簾が施設入口です
入って直ぐにお土産コーナーや休憩スペースがあります
「長野県宝指定書」が飾られていますね
お土産コーナーの中でも目を引くのは、製糸業で栄えた旧小田切家オリジナル商品「まゆもなか」
蚕のまゆの形をした白い皮のもなかです
天井の高い座敷の数々は当時に財を成した製糸家の造りです
機能的な収納がある箱階段です
当時の電話器、なんだか愛嬌のある顔みたい!
中から見える庭も素敵な趣があります
屋根には小田切家の家紋が入っています
欄間もそれぞれ違って手の込んだモダンな模様です
素敵な窓から外を眺めると現代を忘れそうな瞬間があります
住宅にはこれら11ケの模様が隠れているそうです
これだけ素敵な絵があると分かると探したくなってしまいます
まずは鍵隠しに4つ
①鶴
②松
③梅
④柏
⑤鳥は難関で、仏間の扉の模様でした
⑥チューリップのような花はふすまの取っ手の中
⑦ひょうたんは、こんな小さな床の間の戸袋の取っ手の中に!
⑧蝶と⑨笹もふすまの取っ手の中
⑩小槌は、なんと外に出ないと分からない!スゴイ遊び心!
ついでに反対側には俵ねずみも!
⑪桃は瓦の隅に!
学芸員さん曰はく「この桃は鬼門とされている北側を向いています。桃と言えば?鬼を退治してくれるのは桃太郎だから!」すごいセンス、おもしろ~い!
2階には須坂の製糸業の発展に大きく貢献した小田切辰之助による当時の製糸業に関わる展示コーナーがあります
小田切家ゆかりの品々も展示されています
敷地内には水車小屋の展示もあります
当時、須坂では家の中に裏側用水を通し、その水力を利用して製糸業が発達しました
廊下には明治期の青いタイルが目を引きます
旧小田切家のロゴのイメージにもなっています
取材したこの日はちょうど2月3日で、節分の豆まき体験と節分御前のイベントが開催されました
小田切家では「鬼は外!福は内!」に続いて「ごもっともー!ごもっともー!」が番頭さんの役割だったそうです
庭に鬼がいたー!
豆まきの後は、とろろご飯や丸干し、けんちん汁などをコタツにあたりながら美味しくいただきました
「普段と違って歴史を感じる建物で食べるのは格別です」と皆さん
歴史漂う建物で過ごす時間はちょっとした贅沢な気分が味わえます。旧小田切家住宅は製糸業の繁盛期の生活がうかがえる見どころ盛り沢山の施設。製糸業で財を成した豪商の建物からは、建具の装飾や細工からも分かるように遊び心が持てるほど裕福な暮らしぶりを垣間見ることができます。時代が変わっても見る人の心を楽しませてくれる須坂の歴史的産業遺産です。
2020年2月3日取材
須坂市移住・定住アドバイザー 豊田貴子