市長のコラム バックナンバー
◆市街化調整区域の見直しによる超高齢社会及び少子化対策
発行日時:2023 年 06 月 01 日 17 時 35 分
須坂市の農村部にお住いの方から、「高齢化、少子化で区民が減少しているので、市街化調整区域にある農地に住宅を建設できるようしてほしい」との要望を「市長への手紙」でいただきました。(私は「市長への手紙」はすべて目を通しています。)須坂市役所としての回答は次のとおりです。
この度は地域の将来を案じて大変重要なご提言をいただき、敬意と感謝を申し上げます。また、〇〇様におかれましては、区長として市政発展にご尽力を賜りまして重ねて御礼申し上げます。
市街化区域の設定手続きは、国が定める都市計画法に基づき長野県が行う都市計画の手続きとなります。市街化調整区域の撤廃につきましては、住環境に影響を与えるものや、用途地域内への立地を誘導すべきものなどの建築を新たに制限する規制が必要となります。また、調整区域から市街化区域への見直しには、市街化区域内の人口増加が必要条件となりますが、須坂市全域の人口は2000年をピークに減少していることから市街化区域にすることができません。
このため須坂市では、市街化調整区域を維持しつつ都市計画法第34条11号の指定により、市街化調整区域の規制を緩和し、地域コミュニティや伝統文化の維持に向けて人口減少の抑制を図る取組みを行っており、貴町についても農振農用地を除く集落地内の一部を指定しています。
上記の指定区域内に建築できる建築物の用途につきましては下記のとおりです。
【指定区域内に建築できる建築物の用途】
(1)住宅(アパート、共同住宅、長屋は除く)
(2)店舗・飲食店等(店舗・飲食店等の用途に供する部分の床面積が150平方メートル以内)
(3)店舗・飲食店等併用住宅(店舗・飲食店等の用途に供する部分の床面積が150平方メートル以内)
※店舗・飲食店等は、建築基準法別表第二(ろ)項第二号に掲げる建築物の用途とする。
なお、本制度を利用して開発・建築する場合は、開発許可申請又は建築許可申請が必要となることから、事前に長野県長野建設事務所建築課(026-234-9530)へご相談頂きますようお願いいたします。
上記の住宅等の立地に向けた取組みに加え、産業施設の立地に関しましても、現在進めている須坂長野東インターチェンジ周辺地区開発だけではなく、ご当地において工場や物流施設立地の際にも、関係機関協議や都市計画手続きなど、市として努力させて頂き雇用の創出に努めてまいりました。さらに、市内小中学校の耐震補強や空調設備設置などは環境に配慮した先進的な取組みにより完了しております。
これらの取組みにより、2019年7月に行った市民意識調査の結果では、71.0%の方が「須坂市に愛着を感じる」としているほか、「住みやすいまち」と評価する方が66.6%、「須坂市に住み続けたい」という方は90%以上に達しております。
また、長野県公表2022年中の人口増減で、須坂市は転入者が転出者より145人多い社会増になりました。年代別の人口異動状況では30代以降の子育て世代での社会増が顕著となり、子育てのタイミングで須坂市に多くの世帯が転入して頂いております。このことは、待機児童がいないことなどから、須坂市の子育て施策が充実している証であると考えております。
ご提言のとおり、少子高齢化の傾向はご当地だけでなく市街化区域内を含む須坂市全域の傾向であり、人口維持は須坂市全体の重要な課題として捉えておりますので、須坂市が今後も持続的に発展し、多くの皆様に住んでいただけるように、現在進めております第六次須坂市総合計画「須坂みらいチャレンジ2030」に示す様々な施策への取組みに加え、須坂市の実情や法改正の必要性などを市長会を通じて国へ訴える活動なども行いながら課題解決に努めてまいります。
--市長への手紙 回答おわり--
以下は私の見解です。
市民の方への回答には記載されていません。
都市計画法は、第1条で「都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」とされています。
昭和43年制定の法律で、我が国が爆発的な人口増加と経済成長を遂げることが予想されていたため、郊外への道路、下水道等のインフラ整備が必要となる開発抑制を目的としていました。
しかし、現在は人口増加ではなく逆に人口減少社会であり、道路、下水道等のインフラ整備もほぼ達成をしていますので整備の必要はありません。
逆に市街地では土地価格が高いので広い住宅は建設できない、自家用車が保有しにくいなどの課題があり、市街化調整区域に住宅を建設したいという要望があります。
線引きをされていない地域の外側には住宅が建設されるのでドーナツ化現象が生じています。
このような事項を考慮して、私は市に住宅建設の権限を任せることが地方への移住、少子化対策になると考えていますので、市長会を通じて地方の実情を訴えていきます。